本研究提案は、気候シミュレーションの予測精度の向上に向け、精確な年代決定が可能な洞窟の鍾乳石の一種である石筍に着目し、水面下の鍾乳石を掘削し分析することで、これまでにない連続かつ高時間分解能な気候変動データの取得を目指すものである。鍾乳石コアに含まれる流体包有物の分析により、過去の降水の同位体比変動も明らかにし、最終氷期以降の日本地域における環境・気候変動の実態とその変動メカニズムを解明する。 鍾乳石を用いて日本地域の長期気候変動を明らかにすることを目的とした本研究は、日本の温暖化予測に資することが期待され、学術的に大きな意義が認められる。また、鍾乳石でも、従来行われてきたような石筍ではなく、洞窟内のフローストーンと呼ばれる水面下の鍾乳石を利用することやさらに流体包有物を対象に化学分析を行おうとする点は、独創性が高い。研究代表者らの実績も十分にあり、実現可能性も高いと考えられる。
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