研究課題
R3年度はクルマエビのNET、DAT、ムスカリン性アセチルコリン受容体(CHRM)、ドーパミン受容体(DAR)1、DAR2、アドレナリン受容体(ADR)1、ADR2、のクローニングに成功した。細胞試験による活性測定を開始した。ミジンコのSERTに対して、日本で市販されている抗うつ薬およびGPCR阻害薬を網羅的に試験を実施することで、その阻害活性を明らかにした。ヒトや魚のSERTとの反応性の相違が明らかとなった。ミジンコ(D. pulex WTN6系統)とオオミジンコ(D. magna NIES系統)を用いてserotonin、fluoxetine、sertraline、dopamine、amitriptyline、chlorpromazine、mirtazapine、niclosamideに対する急性毒性試験(OECD TG202)と繁殖試験(OECD TG211)を実施した。遊泳阻害と繁殖、そして生まれてくる仔虫のオスの出現割合の増加による幼若ホルモン作用の検出に加え、オスの出現割合の減少による抗幼若ホルモン作用の検出を目的とした。serotonin、fluoxetine、sertraline、dopamineの4物質は急性毒性試験による遊泳阻害は確認できなかった。NIES系統を用いた繁殖試験ではこの4物質の曝露による高濃度区では試験期間中に産まれた仔虫総数が増加する傾向が見られた一方で、WTN6系統の2条件間ではそのような傾向は観察されなかった。また、amitriptyline、chlorpromazine、mirtazapine、niclosamideのうち、mirtazapineとniclosamideは遊泳阻害及び繁殖の著しい抑制がみられた。amitriptylineとchlorpromazineについても曝露濃度依存的に産まれた仔虫総数が減少した。
2: おおむね順調に進展している
これまでにミジンコのSERT、クルマエビのSERT、NET、DAT、ムスカリン性アセチルコリン受容体(CHRM)、ドーパミン受容体(DAR)1、DAR2、アドレナリン受容体(ADR)1、ADR2、のクローニングに成功した。また、ミジンコとクルマエビのGたんぱく質連結型受容体(GPCR)のRNAseqを実施して、ヒトや魚類のGPCRに相同な遺伝子の配列情報を入手した。そして多くの遺伝子をクローニングすることができた。甲殻類GPCRに関しては、クルマエビ、ケガニ、ミジンコにドーパミン受容体、アドレナリン受容体、ムスカリン性アセチルコリン受容体が存在することを明らかにした。クルマエビのGPCRについてはクローニングが完了した。甲殻類には動物種でも脊椎動物のHRHに相同なGPCR遺伝子は見出せなかった。ミジンコSERTについては日本で市販されている抗うつ薬およびGPCR阻害薬を網羅的に試験を実施することで、その阻害活性を明らかにした。ヒトや魚のSERTとの反応性の相違が明らかとなった。ミジンコの急性毒性試験及び繁殖試験を実施した。オオミジンコを用いた既存のOECDテストガイドラインに加えて、独自に構築したD. pulex WTN6系統を用いた抗幼若ホルモン作用の検出が可能なアッセイ系を実施した。
ミジンコSERTに対して下水が阻害活性を持つか否か、持つとすればどれくらいの活性を有するのかを検証する。ミジンコ・クルマエビ・ケガニのSERTについて、昆虫細胞でのアッセイ系を開発する。具体的には昆虫細胞発現用のベクター(pIZT/V5-His)にサブクローニングする。また、ミジンコのin vivo曝露試験から得た知見を他の甲殻類を用いて検証する。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (11件) (うち国際共著 1件、 査読あり 11件) 学会発表 (24件) (うち国際学会 3件、 招待講演 1件) 備考 (1件)
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