研究課題
室内実験としては、微分型電気移動度分級器(DMA)と凝縮粒子カウンター(CPC)を用いて、導入粒子の帯電状態とその沈着現象との関係を調べた。主流方向長さ100 mm、断面積75 mm x×75 mmの矩形容器内に粒子を導入し、Am-241中和器通過の有無を切り替えることで粒子群の帯電状態を変化させ、下流側でDMAおよびCPCを用いて粒子数を計測した。その結果、壁面の帯電状態が沈着現象に対して支配的であることが示された(奥田)。シミュレーションとしては、前年度に開発した直接数値シミュレーションとラグランジュ粒子追跡法に基づく微小粒子を含む三次元非定常流の流動解析コードを用いて、上述の矩形容器内の微小粒子の流動解析を行い、壁面への粒子の沈着挙動を調査した。これにより流入流量の増加あるいは粒子径の減少によって沈着速度も増加するという、対応する実験と定性的に一致する結果が得られたが、極めて高流量(1.0 L/min)の場合には直径0.01μmの微小粒子であっても沈着せずに流出することが分かった(深潟)。領域気象化学モデルNHM-Chemにより計算された福島原発事故由来の放射性粗大粒子(Cs-bearing microparticles; CsMP)の沈着量の大幅な過小評価の改善のために、放射性壊変による自己帯電効果(Depee et al., 2019)を考慮できるbelow-cloud scavenging過程のモデル化を行った(梶野)。
2: おおむね順調に進展している
理由:2021年度も前年度に引き続き新型コロナウイルス感染症の拡大による様々な影響があったが、本研究の推進についてはプロジェクトの初年度にあたり、主に室内実験とシミュレーションモデルの基礎部分の構築を主に進めたため、大きな影響は受けなかった。室内実験の推進の際に、実験室への入構制限や機器の調達に若干の遅れはあったものの、実験の効率化などによってカバーできた。
前年度に引き続き、帯電粒子の沈着現象について、室内実験とシミュレーションモデルの双方よりアプローチを進める。具体的には、数十cmスケールの領域における帯電粒子の沈着現象の実験およびシミュレーション(奥田・深潟)、およびNHM-Chemに導入された粒子帯電パラメータの精緻化(奥田・梶野)を進める。これに加えて屋外でもフィールド調査も実施する(奥田)。2022年度も新型コロナウイルス感染症の社会的な影響は引き続き大きく、さらにはウクライナ情勢も合わさって物品購入にも多少の支障が見込まれるが、本研究においては、実験室への入構制限や機器の調達の遅れ等は予想されるものの、前年度までの経験を踏まえて効率的な研究の推進に努める。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 2件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 1件) 備考 (1件)
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https://www.applc.keio.ac.jp/~okuda/research/theme/charge.html