研究課題
・連続融解メタン分析手法の確立気液分離および気体抽出における気体混合による平滑化について、これまでの実験結果を検討評価した。また、コア試料の継ぎ足しに伴う実験室大気の混入の影響について、アイスコアの実試料の分析結果を解析した。コンタミネーション信号の除去方法としては、コア切替のタイミングの前後の一定時間の除去を基準するが、汚染の程度によりバックグラウンドレベルへの復帰にかかる時間が異なるため、微調整が望ましいことが分かった。超純水と標準ガスを用いたメタン濃度較正については、個別試料の分析を行って両手法の結果を比較することにより評価し、脱気モジュール追加等の試験や、標準ガスと超純水の割合を変化させる試験なども行った。その結果、純水からのメタンやヘリウムの脱気が特に重要であることや、十分に脱気した水を用いても較正後の濃度が低く出ることが分かった。これは、実際のサンプルの物理状態(融解部の直後の温度や圧力、気泡サイズなど)が完全に再現できないことが原因である可能性が考えられる。・連続融解法によるドームふじコアの分析他機関による先行研究においてボストークコアやWAIS Divideコア、グリーンランドコアの分析が実施され比較データが豊富に存在するという理由により、最終氷期のダンスガード・オシュガー振動17番(約6万年前)を含む期間を対象にした分析を行った。当該期間に起こった複数の急激なメタン濃度変化が測定され、高涵養および低涵養のアイスコアを用いた複数の先行研究との比較により、ドームふじコアにおける気体成分の記録の平滑化や年代の入れ替わりについての解析・検討を行うためのデータ取得に成功した。これらの結果を踏まえ、より古い氷期の分析を開始して問題ないと判断し、その対象期間として、前々回の氷期(MIS 6)を選定し、コア配分を受け、一部の分析を開始した。
2: おおむね順調に進展している
概要で述べたように、計画が順調に進んでおり、また、小容量の測器の導入については導入に至っていないが、外国共同研究者との仕様やメーカー等に関して情報交換を行っているなど、進展しているため。
・連続融解メタン分析手法の確立コア切替における大気混入によるコンタミネーション信号の除去方法の半自動化などの効率化を行う。メタン濃度の融解水への溶解に対する補正については、個別試料の分析を行って比較を重ね、補正係数を確立し、定期的にモニターする。・ドームふじコアの分析前々回の氷期(MIS6)を対象にした分析を継続する。
すべて 2021 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 5件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (12件) (うち国際学会 9件、 招待講演 1件)
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