研究課題/領域番号 |
20H00641
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研究機関 | 長岡技術科学大学 |
研究代表者 |
山口 隆司 長岡技術科学大学, 工学研究科, 教授 (10280447)
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研究分担者 |
幡本 将史 長岡技術科学大学, 工学研究科, 准教授 (20524185)
押木 守 北海道大学, 工学研究院, 准教授 (90540865)
渡利 高大 長岡技術科学大学, 工学研究科, 助教 (90800540)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 都市下水処理 / 硫黄微生物 / 嫌気性処理 / 好気性処理 / 電子伝達 |
研究実績の概要 |
開発する水処理システムは、システム前段装置として途上国で普及している上昇流嫌気性汚泥床(UASB)、後段装置として申請者らが開発を進めてきた下降流懸架式スポンジ型好気性反応槽(DHS)を組み合わせた構成である。システムの有機物(BOD)分解者としては、メタン生成古細菌、脱窒素細菌、BOD酸化菌に加えて、硫黄酸化還元サイクルの微生物も積極的に活用することとしている。システム前段UASBは、下水を押出流れで供給する形式とし、内部に直接異種間電子伝達促進ゲル担体を投入する。後段DHSは,スポンジ担体利用散水型装置であり、BOD酸化と硝化を図る。硫黄サイクル微生物によるBOD除去は、特に、低温時に有用となる。本システムを通年連続運転し、黄サイクル微生物によるBOD除去および直接異種間電子伝達促進ゲル担体の制御方法を確立していくものである。特に、保持微生物の評価のための研究として下記を進めた。 ◎ 嫌気的硫黄酸化について高活性な微生物を培養するため連続式培養装置運転。 ◎ 嫌気的硫黄酸化の発現汚泥を対象に次世代シーケンサーを用いた網羅的解析。 ◎ 可視化に成功した嫌気的硫黄酸化微生物の候補は、シングルセルゲノム解析により遺伝子レベルでの機能解明を行ための準備。 当該年度は、未知な事象である「嫌気的硫黄酸化」に関する電子伝達に関わる反応メカニズムの解明と、低温条件下での嫌気的硫黄酸化還元の制御に関する知見収集が大幅に進む実績を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
未知な事象である「嫌気的硫黄酸化」に関する反応メカニズムの解明と、制御に関する知見収集が大幅に進む実績を得たため。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進では、独自技術である低温に適した硫黄サイクル微生物機能活性化技術を深化させ、低水温条件を含む温帯から冷帯までの都市下水処理を可能にするようにする。特に、次の研究項目を推進する。 ・未知な事象である「嫌気的硫黄酸化」に関する反応メカニズムの解明と、制御に関する知見を深めていく。 ・連続式リアクターでの集積ができたので、安定同位体標識基質を用いた微生物ラベル・トレーサー実験(Stable isotope probing 法)を行う。 ・嫌気的硫黄酸化微生物の純粋培養の試みと環境中での生息域調査をすすめる。
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