研究課題/領域番号 |
20H00644
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
中村 嘉利 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(生物資源産業学域), 教授 (20172455)
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研究分担者 |
森脇 真希 (高野) 富山大学, 学術研究部工学系, 助教 (10444192)
浅田 元子 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(生物資源産業学域), 教授 (10580954)
石田 竜弘 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(薬学域), 教授 (50325271)
中崎 清彦 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 教授 (70180263)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | バイオマス全成分有効利用 |
研究実績の概要 |
セルロースナノファイバーブレンドポリ乳酸コンポジットを調製し、近年のプラスチック廃棄物危機に対する有効な解決策として期待される生分解性ポリマーを強化した。セルロースナノファイバーは、高温高圧水蒸気を用いて竹からセルロース繊維を抽出し、ナノスケールまで繊維を分解することで調製した。高温高圧水蒸気処理の処理圧力と抽出工程の粉砕時間の最適条件を検討した。さらに、複合材料作製におけるセルロースナノファイバーとポリ乳酸の混合比を検討した。その結果、セルロースナノファイバーとポリ乳酸の混合比を1:1(50wt%CNF)とし、15気圧の水蒸気圧で5分間の蒸煮処理後、10秒間の粉砕処理でポリ乳酸単独(33.3MPa/g/cm3)の2.35倍の強度(77.5MPa/g/cm3)を有するポリ乳酸との複合体を作製することが最適条件であることがわかった。このことは、高温高圧水蒸気処理を用いて竹から製造したセルロースナノファイバーが、低強度の生分解性ポリマーの補強材として使用できることを示している。また、セルロースの分子量は、耐熱性に関係する熱重量減少温度にも関与していることがわかった。分子量が高いほど熱分解の影響が抑制され、PLA単独の熱重量減少温度からの温度低下が少なくなった。また、CNF/PLA複合材料の想定される用途(包装用、製品外装用など)は、室温または最高でも100℃以下であるため、植物由来で生分解性が期待される材料を用いることで、これらの基準を満たす熱特性を有しながら、高い強度を示す複合材料を作製することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
セルロースナノファイバーの樹脂に対する補強効果は評価できたが、薬剤用DDS担体としての機能性評価および機能性向上のための検討は未達のため。
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今後の研究の推進方策 |
セルロースナノファイバーを原料とした薬剤用DDS担体としての機能性評価および機能性向上のための検討、低分子量リグニンを原料とした高強度エポキシ樹脂硬化樹脂の合成を行う予定である。
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