研究課題/領域番号 |
20H00646
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
高橋 真 愛媛大学, 農学研究科, 教授 (30370266)
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研究分担者 |
水川 葉月 愛媛大学, 農学研究科, 准教授 (60612661)
国末 達也 愛媛大学, 沿岸環境科学研究センター, 教授 (90380287)
加 三千宣 愛媛大学, 沿岸環境科学研究センター, 准教授 (70448380)
藤森 崇 龍谷大学, 先端理工学部, 准教授 (20583248)
鈴木 剛 国立研究開発法人国立環境研究所, 資源循環領域, 主幹研究員 (70414373)
橋本 俊次 国立研究開発法人国立環境研究所, 環境リスク・健康領域, 室長 (80321719)
家田 曜世 国立研究開発法人国立環境研究所, 環境リスク・健康領域, 研究員 (40761078)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 残留性有機汚染物質 / 有機ハロゲン化合物 / マスバランス解析 / 包括網羅分析 / 毒性同定評価 |
研究実績の概要 |
本年度は、研究実施計画に従い、サブテーマ1~5において下記の研究内容を実施した。 サブテーマ1では、初年度に開発した既存・新規POPsおよび関連有機ハロゲン化合物(OHCs)の一斉分析法を用い、堆積年代解析済みの底質コア試料を対象としたPOPsおよび関連OHCsの測定を行った。また、PCBs・PBDEs等の既存POPsと代替臭素系難燃剤の測定結果に関する時系列評価や発生源解析を行った。サブテーマ2では、愛媛大学「生物環境試料バンク」の長期保管試料のうち、カラス・トビなどの野生鳥類を対象に、OHCsの包括分析を実施した。また、新規ハロゲン系・リン系難燃剤に関して、生物試料を対象とした高精度分析法を構築した。サブテーマ3では、底質コア試料を対象に溶媒抽出可能な有機態塩素(EOCl)と有機態臭素(EOBr)の定量について進め、サブテーマ1の結果とともに既知・未知EOBrの時系列変化を解析した。サブテーマ4では、有機ハロゲン化合物の高感度かつ高選択的な検出を目的とし、新たにアルゴンによるソフトイオン化法の適用を検討した。見出した条件でハウスダスト粗抽出液を試験的に測定し、塩素や臭素を含む化合物の高感度検出を確認した。サブテーマ5では、底質コア試料から調整した塩素化・臭素化ダイオキシン類含有画分のAhRアゴニスト活性値(Bio-TEQ)について寄与物質の解析を行った。その結果、塩素化ダイオキシン類含有画分では、機器分析によるTEQとBio-TEQの時系列トレンドはよく一致することを確認した。一方で、臭素化ダイオキシン類含有画分のBio-TEQは、臭素化ダイオキシン類の測定結果と関連性を示さず、臭素化ダイオキシン類以外の活性寄与物質の存在が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請書に記載した「研究実施計画」にしたがって、研究は概ね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
本年度も研究実施計画にしたがって、研究を推進する。一方、新型コロナ感染症の拡大状況によっては、共同研究施設の利用中止や国際学会への参加中止等もありうるが、前倒しで実施可能な実験計画等を先に進めることで全体のスケジュールに影響が出ないように調整しつつ研究を推進する。 各サブテーマにおける具体的計画としては、サブテーマ1において、これまで確立した塩素系・臭素系の既存POPs・関連物質の一斉分析法に加え、有機フッ素化合物(PFASs)の一斉分析法を開発し、より包括的な分析システムの構築を目指す。さらにAIQSDBによる環境汚染物質約1000種類の一斉スクリーニング法についても、底質・生物試料への適用について検討する。サブテーマ2では、生物試料を対象とした水酸化PCBs等のハロゲンフェノール類の一斉分析法の開発に着手し、代謝物を含めた測定系の確立と野生鳥類などの分析を進める。また、本年度新たに構築した新規ハロゲン系・リン系難燃剤に関しても野生鳥類等の分析を進め、それらの生物蓄積について物質ごとの特性を明らかにする。サブテーマ3では、本年度に引き続き、底質コア試料中のEOCl・EOBrの測定を進め、時系列トレンドの地域差について考察するとともに、野生鳥類など生物試料を対象としたEOCl・EOBrの測定法の開発と分析に着手する。サブテーマ4では、本年度確立したArイオン化法とEI法を併用した環境試料網羅分析手法を底質コア試料に適用し、有機ハロゲン化合物の探索を行うとともに、分析法の検出力を評価する。サブテーマ5では、前年度に引き続き複数地点で採取した底質コア試料を対象にBio-TEQの測定を進め、時系列トレンドおよび寄与物質の地域差について解析を行う予定である。
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