研究課題/領域番号 |
20H00650
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研究機関 | 国立極地研究所 |
研究代表者 |
高橋 晃周 国立極地研究所, 研究教育系, 准教授 (40413918)
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研究分担者 |
三谷 曜子 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 准教授 (40538279)
吉田 聡 京都大学, 防災研究所, 准教授 (90392969)
國分 亙彦 国立極地研究所, 研究教育系, 助教 (90580324)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 海洋生態 / 環境変動 / 動物行動 / 海洋貧酸素化 / バイオロギング |
研究実績の概要 |
海洋中の溶存酸素濃度が低下する現象(海洋貧酸素化)が世界の外洋域で進行しているが、その生態系への影響には不明の点が多い。本研究の目的は、溶存酸素濃度記録計をアザラシに装着する新規手法を開発し、魚類・イカ類を大量に捕食する高次捕食動物の視点から、海洋貧酸素化が外洋の中深層生態系に与える影響を評価することである。本課題の初年度にあたる今年度は、アザラシに装着可能な溶存酸素濃度記録計の開発・検証を実施し、米国カリフォルニア州においてキタゾウアザラシに記録計を装着する野外調査を実施することを計画していた。しかし、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、様々な遅れや予定の変更が生じた。溶存酸素濃度記録計の開発は部品供給・調達の停滞により進行が約半年遅れた。観測船を使った実際の海洋での溶存酸素濃度記録計の検証試験は、時期や場所の変更を余儀なくされたが、千葉県館山市沖で実施できた。キタゾウアザラシの野外調査については当初予定していた日本から米国への研究者の派遣は行えなかったが、現地の米国側共同研究者に記録計の装着を依頼する形で実施できた。並行して、キタゾウアザラシの捕食行動の既存データと海洋物理モデルによる溶存酸素濃度の再解析データの解析を実施した。キタゾウアザラシが北東太平洋の400-800mの深さの溶存酸素濃度が低い中深層で小型のハダカイワシを捕食していること、一日を通して連続潜水し捕食の総数を増やすことで、一匹あたりの餌サイズの小ささを補っていることを明らかにした。また、北東太平洋の中でも中深層の溶存酸素濃度が比較的低いカリフォルニア沿岸海域ではアザラシの一日あたりの捕食回数が少ない傾向が見られ、海域ごとの溶存酸素濃度の違いが餌生物の種類や量の変化を通じてアザラシの捕食行動に影響を与えていることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
溶存酸素濃度記録計の開発・検証が、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う部品供給・調達の停滞や、国内外での移動制限によって予定より遅れたため。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、米国の共同研究者側でも野外調査には制約があり、記録計を装着できるアザラシの個体数が少なくなってきている。溶存酸素濃度記録計をさらに小型化することができれば、米国の共同研究者が使用する他の記録計と同時に装着することが可能になり、データ数を増やせることが判明した。来年度以降、記録計のさらなる小型化を推進していく。
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