研究課題/領域番号 |
20H00653
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
井口 亮 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 地質調査総合センター, 主任研究員 (50547502)
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研究分担者 |
酒井 一彦 琉球大学, 熱帯生物圏研究センター, 教授 (50153838)
田邊 俊朗 沖縄工業高等専門学校, 生物資源工学科, 准教授 (50378915)
豊原 治彦 摂南大学, 農学部, 教授 (90183079)
安田 仁奈 宮崎大学, 農学部, 准教授 (00617251)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | サンゴ / フェーズシフト / 体外分解系 |
研究実績の概要 |
沖縄島周辺において、サンゴと底質の分布調査を実施し、サンゴ卓越環境・サンゴ非卓越環境における生物相の把握を行った。また、昨年度に続いて、ステリベクス濾過による採水作業を実施した。また、主要なサンゴ種のサンゴ片と底質のサンプリングを行い、遺伝子解析用に保存した。 野外調査においては、サンゴ類や藻類、また周辺生物相の把握を実施した。場所によって、底質の浄化に寄与しているナマコ類が多く見られたため、個体群密度調査を行い、先行研究と比較して沖縄島周辺のナマコ密度が総じて低い可能性が示唆された。また、一部のナマコ類の出現が造礁サンゴ類の出現環境に限局されていたため、サンゴ類の出現頻度との相関分析を行った。その結果、シカクナマコとノウサンゴ属の出現頻度が正の相関を持つ事が明らかになった。 ミドリイシ科のサンゴ2種の複合ストレス実験を実施し、成長率に加えて、褐虫藻を対象とした光合成効率・クロロフィル量・褐虫藻密度を測定し、種間での応答の違いを評価した。その結果、2種間で顕著な成長率の違いが見られた。褐虫藻関係のパラメーターでは顕著な違いは見られなかった。また、飼育実験後の遺伝子解析用のサンプルを保存し、得られたサンプルの微生物叢組成解析を行った。その結果、褐虫藻に関しては種間で顕著な違いが見られることが明らかとなった。また、サンゴ種内の遺伝的多型を調べるためにSNPs解析を行い、使用した群体はクローンではないことを確認した。得られたサンゴ片の一部を用いて酵素精製を進めた。また、サンゴのゲノム配列を用いて細胞外分泌シグナルペプチド配列の探索を行った。 底質サンプルに関しては、DNA抽出を行い、メタゲノム解析に向けた予備実験とデータ解析を実施した。ステリベクス濾過サンプルに関しては、ハイスループットシーケンサーで配列データの取得を行い、十分量のデータが取得されたことを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて、予定していた実験・調査の一部を見送りまたは短縮して実施することとなり、データ取得が不十分であったため。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度採取した飼育実験サンプルの遺伝子解析を進めていく。特に複合ストレス実験で取得されたサンプルのRNA-seq解析を行い、特徴的な酵素群の絞り込みと、リアルタイムPCR用のプライマー作成と定量化を進める。底質・海水サンプルに関しては、メタゲノム解析を本格的に進め、酵素関連遺伝子配列の取得を進める。メタゲノム解析に並行して、酵素精製・活性解析を進め、本プロジェクトで得られた各種サンプルに合わせた効率的な評価系の構築を進める。
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