本研究の基盤となるssPalmは、『電荷的に中性なナノ粒子の形成能』と『エンドソーム脱出促進能(第三級アミン)』、『自己崩壊能(ジスルフィド結合)』を一分子内に集約した脂質様材料である。本材料から形成されるナノ粒子を低分子に応用することで、負に制御された癌免疫サイクルを矯正することで癌を治療するという、抗癌剤を用いない治療原理を提唱するものである。 エステラーゼ等に依存する従来のプロドラッグにおいては、その分解効率が化学構造により大きく影響をうけるために、適用できる薬物に制限があった。今回開発するナノ粒子はどの細胞においても普遍的な還元環境に応答して、薬物放出を可能とする点で高い汎用性がある。
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