先行研究では,生徒にとって真正な問題を題材に,社会的オ―プンエンドな問題の特性(島田・馬場,2014)を検証しながら教材開発を行ったが,数学の授業で扱える「生徒にとって真正な問題」が豊富で無いことに起因する教材開発の困難性を解決することはできなかった。本研究では授業内で生徒にロール(役割)を設定し,そのロールにとって真正な問題を扱う「ロールプレイ教材」に注目した。数学教育分野における,ロールプレイ教材に関する教材・研究の蓄積は十分ではなく,動機付けの観点からロールプレイ教材の可能性を検討した本研究は,数学科における教材開発の幅を拡げるという点で意義のあるものである。
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