研究の概要: 本研究は、高等学校数学科において、これまで以上に思考力・判断力・表現力を育成するための授業改善が行われていることから、思考力・判断力・表現力を適切に評価し、生徒へフィードバックさせるための評価問題の開発と、その有効性の検証を行った。評価問題の作成にあたっては、国際バカロレアのディプロマプログラムにおける数学の問題や評価方法、また、大学入学者選抜における国際バカロレア入試問題等を参考にした。 具体的には、ディプロマプログラムにおける数学のねらいのうち、「数学の概念、原理、本質に対する理解を深める」ことと、「論理的思考と創造的思考、問題解決に取り組む際の根気と粘り強さを養い、数学を使うことへの自信をもつ」に焦点を当て、公式を証明する問題や数列を活用した評価問題等を作成した。作成した問題は思考力・判断力を適切に測ることが示唆されたが、一方で採点の公平性や妥当性に課題があることも明らかになった。
研究成果の学術的意義や社会的意義: 本研究の成果として、国際バカロレアのディプロマプログラムにおける数学の問題や評価方法を参考に評価問題を作成したことと、採点の信頼性や公平性の担保についての課題を明らかにしたことが挙げられる。また、採点における課題解決のためには、学習目標と評価の一体化に係る共通理解を図るだけでなく、採点者間のデモンストレーションが有効であることが示唆され、教員の問題作成や評価する力を向上させることに役立てた。
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