研究実績の概要 |
平成30年度の文部科学省の調査結果によると、日本語指導が必要な外国人児童生徒の数は4万人を超え、また日本語指導が必要な日本国籍の児童生徒の数も年々増加し1万人を超えている。注目したいのは、小学校の時から渡日したにもかかわらず、中学や高校の勉強についていけないケースである。Jim Cummins(1984)によると、これは日常会話で必要となる生活言語(BICS)は2~3年ほどで身につくが、学習の際に必要となる学習言語(CALP)は5~7年を要することと関係がある。いわゆる学齢期、特に中学・高校に属する学習者にとっては単に言語の習得だけではなく、思考を深める認知活動も行う必要がある。そこで長年にわたり言語教育と教科学習を統合して学ぶための教材『外国人生徒のための教科につなげる日本語』シリーズの開発に取り組んできた。 Higgs, Theorore V. and Ray Clifford(1982)によると、言語を学ぶ過程で、中級レベルへと向かう学習者は特に言語と文法、場面に応じた言語使用に対するニーズが高まることが指摘されている。そこで特に言語、意味、使い方を重点的に学ぶため、『外国人生徒のための日本語』の教材に関連する学習アプリの開発を行い、より効果的に日本語の語彙や教科の知識を楽しく学べるように支援したいと考えた。今回は『教科につなげる外国人生徒のための日本語応用編』の教材の本文の語彙分析を行い、教科学習につながる語彙の抽出とリーダビリティの分析を行った。その結果を参考にし、言語、文法、内容読解、リスニング、教科関連の面からアプリの開発を行った。 開発したアプリを活用することで、学習の復習の機会を提供し、生徒が授業外でも自主的に楽しく学習する機会となることを期待する。今後も引き続き、続編の教材のアプリの開発に取り組み、充実させていきたい。
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