本研究は,新学習指導要領に例示のない単元において,プログラミング教材を活用することが理科の本質的な学びに生かされ,理科における主体的・対話的で深い学びにつなぐことができるようにするために,検討を行ったものである。 近年,ICTリテラシーやICTを活用した問題解決といった,これからの時代に求められる能力を身に付ける方法として「プログラミング教育」が着目され,小学校教育においては2020年度から完全実施されている(文部科学省,2017)。教科におけるプログラミング教育も積極的に推進されており,理科においては,小学校第6学年の電気の利用の単元における導入などが学習指導要領に明記されている。こうした動向を受けて,理科におけるプログラミング教育に関しては,これまでに様々な授業実践が提案されてきている(例えば,木月,2018)。しかしながらこれまでの取り組みにおいては,教育方法の議論にとどまっていることが指摘されている(佐藤,2018)。 本研究で取り組んだのは,従来のような単発的なプログラミング授業実践の提案ではなく,理科において,学年段階を考慮したプログラミング教育の長期的な導入方法とその評価方法の検討である。プログラミング教育の導入にあたっては,プログラミングのスキルの向上を目指すのではなく,論理的思考などのプログラミング的思考を育むことを目的としていることは周知の事実であり,そうした思考は単発の授業というよりはむしろ,長期的な視野に立った取り組みが必要である。本研究を通して,小学校の各学年段階においてどの程度の時間・難度のプログラミング活動を導入することが妥当なのかという検討を行った。
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