通常学級に在籍し通級指導教室による個別の支援を必要とする児童4名を対象とし、通級指導教室において1回15分程度の眼球運動と視知覚認知トレーニングを週に1度の頻度で4ヶ月間実施した。 トレーニング前後に、眼球運動の観察し点数化する「NSUCO」、眼球運動と数字のデコーディング能力を測定する「DEM」、書き写し能力の正確性と速度を測定する「近見遠見数字視写検査」、視覚認知能力を測定する「WAVES」を実施するとともに、画面提示した学年相応の有意味文章と、その文章に出てきた文字列を並べ替えて作成した無意味文章を音読する際の所要時間と眼球運動を測定し、固視・跳躍・逆行の回数と視線の総移動距離及び注視点の移動速度を算出し、対応のあるt検定により比較し傾向を検討した。 眼球運動の観察評価において「衝動性・滑動性眼球運動」ともに有意な改善が見られた。視覚認知能力において、「目と手の協応動作」「視知覚速度」「視覚分析」の指数において有意な改善が見られた。有意味文読みでは「所要時間」「視線の総移動距離」に有意な差が見られた。無意味文においては有意な差は見られなかった。 これらから、眼球運動と視知覚認知トレーニングを4ヶ月程度継続することにより、眼球運動能力が改善するとともに、目と手の協応動作の正確性や視知覚認知速度及び視覚分析能力が向上すること、音読時の視線の総移動距離が減ることで音読所要時間が短縮する可能性があることが示唆された。
|