研究実績の概要 |
本研究の目的は,プログラム開発などの実習授業を受講する学生が,実習に必要な知識不足あるいは実習課題の理解不足のために実習作業を誤った際に,人手を介さずに状況に応じた適切な教育的支援を提供することである.この目的を実現するため,ロボットと拡張現実感(Augmented Reality, AR)の技術を用いて,実習を受講する学生の進捗状況を見守り,教育的支援を提供するシステムを実現する.本システムは,受講生の顔や操作している手指の動き,実習の際に用いる学習ボードの構成情報,PCの開発環境を常時見守ることで,学習者の作業の進捗状況を自動的に把握する.本研究の特徴は,実習作業時の受講生や実習環境を,複数の視点で観察することで間違った操作の原因を特定すること,ロボットによる動作と音声,プロジェクタによる現実世界への映像投影による情報提示で,受講生が誤った操作を自ら修正できるよう促すところにある. 本システムを構築するにあたり,組込みプログラミング実習で使うPC上で動作するアプリケーションを開発した。このアプリケーションの構成要素は,受講生の顔と動き,ボードの状態を映像から検出するための「映像認識モジュール」,実習環境のPCから取得した作業履歴から進捗状況を分析する「進捗管理モジュール」,実習の進捗と受講者の顔と動きから実習への集中度を予測する「集中度予測モジュール」である.受講生の動きや学習ボードの映像はWebカメラと深度カメラで取得し,受講生のプログラミング作業の履歴は開発環境の動作ログから取得した。受講生への情報提示には小型ヒューマノイドロボットと小型プロジェクタを利用した。アプリケーション開発後、実際の実習課題を用いた実証実験をおこない,適切な情報を提供できるかを検証した.その結果、実習作業の進捗に応じてロボットとプロジェクタから支援情報を提示する機能が動作することを確認した.
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