研究課題
奨励研究
本研究では,日本国内で広く乱用されている覚醒剤メタンフェタミン (MA) の摂取証明の更なる高度化を目指して,MA摂取者尿に微量存在する代謝物であるp-ヒドロキシメタンフェタミン (p-OHMA) の遊離体を迅速・簡便に分離濃縮して検出するためのイオン液体 (IL) マイクロ抽出法および抽出試料の機器分析法について検討した.その結果,水中p-OHMAを効率的に分離濃縮できるIL種および抽出条件を見出したが,機器分析法については更なる検討が必要と考えられた.
分析化学
p-OHMAの遊離体は尿中での存在比率が低く,p-OHMAの多くが抱合体となって存在していることから,従来p-OHMAの検出には時間と手間のかかる加水分解処理を行うのが通例であった.今回見出したILマイクロ抽出法により,加水分解処理を経ずとも容易に検出可能なレベルにまでp-OHMAの遊離体を分離濃縮できるものと考えられる.抽出試料の機器分析法を確立できれば,警察による覚醒剤事犯への対応の一助になると期待されることから,今後更なる検討を試みる予定である.