本研究は、「抗菌薬開始時に記載する届出書の記載状況によって抗菌薬使用のプロセスに影響を与えているか」を明らかにすることであった。記載良好な群と記載不良な群で比較した結果、感染部位の想定は記載良好群のほうが抗菌薬適正使用支援チーム(AST)の診断する感染源と一致する割合が高い傾向にあったが、いずれの項目においても有意な差は認められなかった。 届出制は抗菌薬適正使用を推進するツールの一つであるが、監視対象薬剤の使用患者を即時に漏れなく確認できる施設かつ感染症内科やASTの体制が整っている総合病院などでは届出書の記載が感染症治療のプロセスに及ぼす影響は限定的であると考えられた。
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