Bcr-Ablチロシンキナーゼ阻害薬(TKI)投与による心血管障害の発症は用量依存性と考えられているが,実臨床においてリスク回避に対する具体的な手立てはなく,臨床症状から画一的な投与量の減量が行われている。本研究では,TKI投与患者に対し薬物血中濃度モニタリング(TDM)を行い,心血管障害の発症とTKI薬物血中濃度の関連性について解析した。現在,症例蓄積中であるが,ダサチニブ投与中に心血管障害が発現,投与休止となった慢性骨髄性白血病(CML)患者にTDMを実施し,投与量の調整を行った結果,心血管障害症状が改善,投与継続可能となり1年半後には完全寛解が得られた1症例を経験した。
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