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2020 年度 実績報告書

倫理的理由の分断と崩壊に関する問題領域を横断した検討による社会的議論の再生

研究課題

研究課題/領域番号 20H01182
研究機関南山大学

研究代表者

神崎 宣次  南山大学, 国際教養学部, 教授 (50422910)

研究分担者 眞嶋 俊造  広島大学, 人間社会科学研究科(総), 准教授 (50447059)
上村 崇  福山平成大学, 福祉健康学部, 教授 (50712361)
岡本 慎平  広島大学, 人間社会科学研究科(文), 助教 (70821023)
佐藤 靜  大阪樟蔭女子大学, 学芸学部, 准教授 (80758574)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード不正義 / 理由 / 差別
研究実績の概要

今年度の本研究計画における個別の領域での成果をまとめると以下のようになる。まず、佐藤による新潟水俣病に関する論文やヘイトメッセージに関する分担執筆書は、関連する重大な差別問題を扱ったものとして意義がある。また、新潟水俣病論文その他二点の佐藤の業績は総体として、フェミニズムやジェンダーに関わる問題の幅広さを示しているといえる。神崎の分担執筆書と岡本の学会報告は正義に関する規範的な理論や、競合する選択肢からの社会的な意思決定についての基礎的な論点を示している。眞嶋による論文および分担執筆書、神崎による報告は軍事あるいは軍事研究における「理由」の分析に関わるものである。特に神崎の報告は航空宇宙分野におけるデュアルユースという具体的な問題について、その分野の研究者が設定した場において行われたものであり、実践性という観点から大きな意義があるといえる。
以上は、本研究計画の第一段階として設定していた個別分野での研究・調査の成果である。設定した分野によって成果の発表の程度に差が生じているが、それは計画段階から予想されていたことであり、全体としてはこの段階の計画として想定どおりの成果が得られてきているといってよい。COVID-19の影響により遅れた点は、これらの個別分野での成果を統合して「理由の崩壊」という本研究計画の分析ターゲットとなる現象についての複合的な検討であるが、これは次年度にずれ込むこととなった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

今年度は当初より各分担者がそれぞれの担当分野での調査を主に行うという計画であったので、その点ではCOVID-19流行が本研究全体に及ぼした影響は限定的であった。影響があったのは、2-3月に外部からの報告者を招聘した研究会を行う予定であったのが21年度前半に延期になった点である。また今年度における個別領域での研究成果の統合も同様に延期になった。そのほか、個々の分担の学会等での研究報告機会や研究会開催予定などに対する影響もあったが、それらを考慮に入れても予定から大幅には遅れていないと評価している。

今後の研究の推進方策

申請時の研究計画に本質的な変更を加える必要は現時点で存在しない。今年度は、理由の崩壊という本研究の分析対象となる現象をより広い文脈で検討するために外部からの報告者を招聘した研究会をオンライン開催しつつ、研究チーム内部での調査と議論を継続するという推進方策を継続していく。

  • 研究成果

    (11件)

すべて 2021 2020

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) 図書 (4件)

  • [雑誌論文] 新潟水俣病維持件における妊娠規制の問題:優生思想と フェミニスト倫理学の観点からの検討2020

    • 著者名/発表者名
      佐藤靜
    • 雑誌名

      医学哲学医学倫理

      巻: 38 ページ: 11-19

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 「特集1 分析フェミニズムの歩き方」の一部2020

    • 著者名/発表者名
      佐藤靜
    • 雑誌名

      フィルカル

      巻: 5(3) ページ: 34-39

  • [雑誌論文] 何がその研究を軍事研究とするのか ――分類と事例から考える2020

    • 著者名/発表者名
      眞嶋俊造
    • 雑誌名

      社会と倫理

      巻: 35 ページ: 187-199

    • オープンアクセス
  • [学会発表] 論点整理2021

    • 著者名/発表者名
      神崎宣次
    • 学会等名
      ワークショップ「航空宇宙分野とデュアルユース技術」第三回
  • [学会発表] 富田八郎の功罪2020

    • 著者名/発表者名
      佐藤靜
    • 学会等名
      第42回社会思想史学会大会
  • [学会発表] トロリー問題(とその亜種)の規範倫理学における限界(ワークショップ:社会の中の道徳的ジレンマ)2020

    • 著者名/発表者名
      岡本慎平
    • 学会等名
      日本科学哲学回第53回
  • [学会発表] 「考え、議論する」道徳教育における功利主義の有効性(ワークショップ:初等・中等教育に対する倫理学の貢献可能性――道徳的諸価値への倫理学的アプローチ)2020

    • 著者名/発表者名
      岡本慎平
    • 学会等名
      日本倫理学会第71回大会
  • [図書] 多文化社会学解体新書:21世紀の人文・社会科学入門(佐藤靜「差別としてのヘイトメッセージ:〈傷つき〉の経験をめぐって」)2021

    • 著者名/発表者名
      アブドゥラッハマン・ギュベルヤズ編、佐藤靜ほか
    • 総ページ数
      191
    • 出版者
      松本工房
  • [図書] フェミニスト現象学入門(佐藤靜「ケアをお金で買うってどういうこと?」)2020

    • 著者名/発表者名
      稲原美苗、川崎唯史、中澤瞳、宮原優 編、佐藤靜ほか
    • 総ページ数
      208
    • 出版者
      ナカニシヤ出版
  • [図書] 世界哲学史7(神崎宣次「第5章 進化論と功利主義の道徳論 神崎宣次」)2020

    • 著者名/発表者名
      伊藤邦武、山内志朗、中島隆博、納富信留 編、神崎宣次ほか
    • 総ページ数
      304
    • 出版者
      筑摩書房
    • ISBN
      4480072977
  • [図書] 希望の種をまく人 ―マイケル・シーゲル氏を偲んで(眞嶋俊造「正戦論・戦争倫理学」 pp. 108-112)2020

    • 著者名/発表者名
      篭橋一輝 編、眞嶋俊造ほか
    • 総ページ数
      172
    • 出版者
      南山大学社会倫理研究所

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公開日: 2021-12-27  

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