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2020 年度 実績報告書

近代日本における新カント派受容の歴史と意義―社会科学との交渉を中心に―

研究課題

研究課題/領域番号 20H01196
研究機関創価大学

研究代表者

伊藤 貴雄  創価大学, 文学部, 教授 (70440237)

研究分担者 大橋 容一郎  上智大学, 文学部, 教授 (10223926)
加藤 泰史  椙山女学園大学, 国際コミュニケーション学部, 教授 (90183780)
川口 雄一  創価大学, 文学部, 非常勤講師 (10756307)
芝崎 厚士  駒澤大学, グローバル・メディア・スタディーズ学部, 教授 (10345069)
福谷 茂  創価大学, 文学研究科, 教授 (30144306)
松井 慎一郎  聖学院大学, 人文学部, 教授 (50795101)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2024-03-31
キーワード新カント派 / 社会科学 / 受容史 / 国際文化交渉 / リッカート / 左右田喜一郎 / 南原繁 / 河合栄治郎
研究実績の概要

本研究は、近代日本における新カント派受容の歴史と意義を学際的に明らかにするものである。初年度に当たる2020年度は、「蓄積されてきた先行研究および各研究者の研究実績の整理」を目標に掲げ、ミーティングと研究会を中心に研究活動を行った。
2020年9月6日、「キックオフ・ミーティング」をオンラインにて開催した。本科研メンバーは、大きく分けて近代ドイツ哲学史研究と近代日本思想史研究という二つの異なる領域の研究者から成るため、まずは互いの研究方法や使用概念に関して、特長や課題を共有する必要がある。ミーティングではこの点を確認し合うとともに、年度内の研究会を立案した。
2021年1月28日、「第1回研究会」をオンラインにて開催した。発表者は3名で、発表題目は以下の通りであった。①芝崎厚士「先行研究レビュー~国際文化交渉論的視点から~」、②伊藤貴雄「左右田喜一郎『文化主義の論理』のコンテクスト」、③田渕舜也「リッカートと南原繁~「哲学的政治」と「政治哲学」の交錯~」(③はゲスト発表)。
2021年3月22日、「第2回研究会」をオンラインにて開催した。発表者は2名で、発表題目は以下の通りであった。①松井慎一郎「河合栄治郎の理想主義哲学と社会批評」、②川口雄一「南原繁の政治理論~「価値並行論」および「理想主義的社会主義」の思想史的位置をめぐって~」。
以上の活動を通し、本年度は特に国際関係論・経済哲学・政治哲学からの解明作業が試みられた。なお、本科研の成果の一部を、2021年度から『東洋学術研究』(東洋哲学研究所刊)に新連載「近代日本における価値哲学者の群像」として掲載することが決まった。上記第2回研究会はその初回連載に向けた原稿の検討会を兼ねるものとなった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初計画に基づくならば、本科研メンバーの多くが、国内では東北大学附属図書館で、海外ではハイデルベルク大学哲学部で資料調査を行う予定であった。しかし、2020年春から始まった全世界的な新型コロナウィルス感染症拡大に伴い、これらの資料調査や、対面による研究会を断念せざるを得なくなった。そのため、本年度の前半はもっぱらメール上での意見交換が中心となったが、後半からはオンラインで「キックオフ・ミーティング」を行って研究計画の立て直しを図り、最終的に2回にわたる研究会をオンラインで開催することができた。発表内容は、先行研究レビューから、左右田喜一郎・南原繁・河合栄治郎といった個別思想家の研究までをカヴァーするものであり、近代日本における新カント派受容史を特に国際関係論・経済哲学・政治哲学の観点から解明する成果が得られた。また、オンラインの利点として、研究会には遠方から科研メンバー以外の参加者もあり、対面開催では得がたい研究上の人的ネットワークも得られた。
本科研の成果の一部を、2021年度から『東洋学術研究』(年2回発行)に掲載することが決まったため、各々がそれに向けて研究計画を立てて遂行する体制ができた。また、国内外の資料調査こそできなかったが、それぞれに工夫を凝らして書店・古書店等を通じて基礎的な文献資料の収集に努めた。研究代表者の伊藤は、左右田喜一郎の縁戚である左右田家の協力を得て左右田家文書の閲覧をすることができた。
以上の進捗状況を踏まえ、本研究は「おおむね順調に進展している」に該当するものと判断する。

今後の研究の推進方策

当初計画では、2021年度は「大正デモクラシー期における新カント派哲学の受容と展開の検討」を目標に掲げ、海外での資料調査(チュービンゲン大学哲学部等)と年2回の研究会を行う予定であった。しかし、資料調査については(本年度から持ち越した東北大学附属図書館・ハイデルベルク大学哲学部の調査も含め)新型コロナウィルス感染症の流行状況により延期せざるを得ない事態も想定して方策を立てる必要がある。そのため、基本的には本年度に構築した研究体制と人的ネットワークを踏まえて、オンラインでのミーティングや研究会を中心に研究活動を行う予定である。
また、本年度に開催した第2回研究会における発表内容を中心に『東洋学術研究』第60巻第1号(2021年5月刊)に「近代日本における価値哲学者の群像(1)」を掲載する予定である。同様に、2021年度に開催する第3回研究会における発表内容を中心に『東洋学術研究』第60巻第1号(2021年5月刊)に「近代日本における価値哲学者の群像(2)」を掲載する予定である。
以上に加えて2021年度は第4回研究会・第5回研究会、および年度末の「中間総括ミーティング」の開催を予定している。

  • 研究成果

    (28件)

すべて 2021 2020

すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (16件) (うち招待講演 6件) 図書 (5件)

  • [雑誌論文] メティエとペダゴギーの往還錬成 : 『近現代日本と国際文化交流 グローバル文化交流研究のために』(有信堂高文社、2020年)をめぐるオンライン・ゼミの試み(2020.5.9-2020.7.25)2021

    • 著者名/発表者名
      芝崎厚士
    • 雑誌名

      Journal of Global Media Studies

      巻: 28 ページ: 1-35

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 若きショーペンハウアーのフィヒテ研究ノート――『道徳論の体系』を中心に2020

    • 著者名/発表者名
      伊藤貴雄
    • 雑誌名

      フィヒテ研究

      巻: 28 ページ: 73-86

    • 査読あり
  • [雑誌論文] The Kantian Framework of Schopenhauer’s Ethics: Right, Justice, Compassion, and Asceticism2020

    • 著者名/発表者名
      Ito, Takao
    • 雑誌名

      Schopenhauer Jahrbuch

      巻: 101 ページ: 173-188

  • [雑誌論文] コンテクストのなかのショーペンハウアー自然哲学――カント・シェリング・フィヒテのアナロジー論と対比しつつ2020

    • 著者名/発表者名
      伊藤貴雄
    • 雑誌名

      ショーペンハウアー研究

      巻: 25 ページ: 34-43

  • [雑誌論文] Meine akademischen Erinnerungen, 1990-2018(Zweite Teil)2020

    • 著者名/発表者名
      Atsushi Shibasaki
    • 雑誌名

      Journal of Global Media Studies

      巻: 27 ページ: 25-43

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 思想・文化 三2020

    • 著者名/発表者名
      川口雄一
    • 雑誌名

      史學雑誌

      巻: 第129編第5号 ページ: 185-188

  • [雑誌論文] 戦時期における和辻哲郎と南原繁の「共同体」論:宗教・人格・國體をめぐって2020

    • 著者名/発表者名
      川口雄一
    • 雑誌名

      思想

      巻: 1160 ページ: 87-114

  • [学会発表] 左右田喜一郎『文化主義の論理』のコンテクスト2021

    • 著者名/発表者名
      伊藤貴雄
    • 学会等名
      令和2年度科学研究費助成事業(基盤研究(B))「近代日本における新カント派受容の歴史と意義~社会科学との交渉を中心に~」第1回研究会
  • [学会発表] 南原繁の政治哲学:「価値並行論」および「理想主義的社会主義」の思想史的位置をめぐって2021

    • 著者名/発表者名
      川口雄一
    • 学会等名
      令和2年度科学研究費助成事業(基盤研究(B))「近代日本における新カント派受容の歴史と意義―社会科学との交渉を中心に―」第2回研究会
  • [学会発表] 国家論における西と東―プラトンと孔子―2021

    • 著者名/発表者名
      福谷茂
    • 学会等名
      下伊那哲学研究会
    • 招待講演
  • [学会発表] 友情の思想史―「哲学の雰囲気」に向けて―2021

    • 著者名/発表者名
      福谷茂
    • 学会等名
      飯田市立飯田東中学校校内研修
    • 招待講演
  • [学会発表] 川面凡児と牧口常三郎―「信仰的競争」と「人道的競争」2021

    • 著者名/発表者名
      松井慎一郎
    • 学会等名
      東洋哲学研究所2021年1月度研究部員会
  • [学会発表] 河合栄治郎の理想主義哲学と社会批評2021

    • 著者名/発表者名
      松井慎一郎
    • 学会等名
      令和2年度科学研究費助成事業(基盤研究(B))「近代日本における新カント派受容の歴史と意義~社会科学との交渉を中心に~」第2回研究会
  • [学会発表] 近代日本における新カント派哲学の受容の系譜――価値並行論とその周辺2020

    • 著者名/発表者名
      伊藤貴雄
    • 学会等名
      南原繁研究会第9回夏期研究発表会
  • [学会発表] 左右田喜一郎著『文化主義の論理』を読む2020

    • 著者名/発表者名
      伊藤貴雄
    • 学会等名
      南原繁研究会第199回例会
  • [学会発表] 「大災害から命を守る」第一回:災害/尊厳/文化2020

    • 著者名/発表者名
      加藤泰史
    • 学会等名
      愛知県立大学2020年度連続公開講座
    • 招待講演
  • [学会発表] グローバリゼーションの哲学思想/人間の尊厳2020

    • 著者名/発表者名
      加藤泰史
    • 学会等名
      上智大学プロフェッショナル・スタディーズ講座
    • 招待講演
  • [学会発表] 「文化」と「文化」の出会い――グローバル交流研究のための覚書2020

    • 著者名/発表者名
      芝崎厚士
    • 学会等名
      日本国際政治学会2020年度研究大会
  • [学会発表] 射水郡長時代の南原繁 再考:思想史的=評伝的研究のための予備的整理2020

    • 著者名/発表者名
      川口雄一
    • 学会等名
      南原繁研究会・第9回夏季研究大会
  • [学会発表] 南原繁の政治哲学における「国際的デモクラシー」の理念:近代日本におけるグローバル・ガヴァナンス論と「国民共同体」論との交渉2020

    • 著者名/発表者名
      川口雄一
    • 学会等名
      2020年度日本政治学会・分科会「世界経済の政治的トリレンマの問題に対する政治思想史的アプローチ」
  • [学会発表] 認識論と論理学―認識の論理に関する近代日本哲学の多様性2020

    • 著者名/発表者名
      大橋容一郎
    • 学会等名
      日本カント協会第45回学会シンポジウム「近代日本とカント哲学」
  • [学会発表] プラトンとアリストテレスー『国家』vs.『政治学』―2020

    • 著者名/発表者名
      福谷茂
    • 学会等名
      下伊那哲学研究会
    • 招待講演
  • [学会発表] へノロジーとは何か―カントから形而上学へ―2020

    • 著者名/発表者名
      福谷茂
    • 学会等名
      2020年度京都哲学会公開講演会
    • 招待講演
  • [図書] 東アジアの尊厳概念2021

    • 著者名/発表者名
      加藤泰史、小倉紀蔵、小島毅(共編著)
    • 総ページ数
      550
    • 出版者
      法政大学出版局
    • ISBN
      978-4588151163
  • [図書] 時政学への挑戦――政治研究の時間論的転回2021

    • 著者名/発表者名
      高橋良輔、山崎望(共編著)、中内政貴、中村長史、今井宏平、佐藤史郎、川名晋史、八木直人、大庭弘継、西海洋志、芝崎厚士(著)
    • 総ページ数
      324
    • 出版者
      ミネルヴァ書房
    • ISBN
      978-4623085217
  • [図書] 今、南原繁を読む――国家と宗教とをめぐって2020

    • 著者名/発表者名
      板垣雄三、島薗進、鈴木規夫、伊藤貴雄、宮崎文彦、晏可佳、加藤節、高木博義、山口周三、高橋勇一
    • 総ページ数
      190
    • 出版者
      横濱大氣堂
    • ISBN
      978-4990884864
  • [図書] 理性の構成2020

    • 著者名/発表者名
      オノラ・オニール(加藤泰史監訳、網谷壮介、高畑祐人、城戸淳、宇佐美公生、高木駿、中澤武、木場智之、上野大樹、柳橋晃、津田栞里、馬渕浩二訳)
    • 総ページ数
      502
    • 出版者
      法政大学出版局
    • ISBN
      978-4588011245
  • [図書] 日本思想史事典2020

    • 著者名/発表者名
      日本思想史事典編集委員会、日本思想史学会
    • 総ページ数
      744
    • 出版者
      丸善出版
    • ISBN
      978-4621304587

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公開日: 2022-12-28  

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