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2022 年度 実績報告書

ヘーゲル美学講義における絵画論の芸術哲学的な意義とボアスレ・コレクション

研究課題

研究課題/領域番号 20H01204
研究機関新潟県立大学

研究代表者

石川 伊織  新潟県立大学, その他, 名誉教授 (50290060)

研究分担者 落合 桃子  福岡大学, 人文学部, 准教授 (40434237)
神山 伸弘  跡見学園女子大学, 文学部, 教授 (60233962)
片山 善博  日本福祉大学, 社会福祉学部, 教授 (60313433)
小島 優子  高知大学, 教育研究部人文社会科学系人文社会科学部門, 准教授 (90748576)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2024-03-31
キーワード美学 / ヘーゲル美学 / 18-19世紀美学史 / 美術史 / 絵画論
研究実績の概要

申請者の先行研究「ヘーゲル美学講義に結実した芸術体験の実証的研究」(2014-2018年度 基盤研究(B) 課題番号26284020)の成果を発展させ、本研究ではヘーゲルおよびその周辺の芸術哲学について検討し、古典派とロマン派の相克という時代背景のもとでボアスレ・コレクションがこれらに与えた影響について考察する。
本年度の研究では、(1)現地調査をも含め、絵画資料および文献資料の収集・整理に注力するとともに、(2)周辺の思想家の著作について分担して考察を加える一方、(3)ボアスレの残した書簡と日記の翻訳・整理を進めた。
(1)ではバイエルンおよびその周辺のボアスレ由来の作品を収蔵する美術館を徹底調査し知見を深めた。とりわけ、ケルンのヴァルラフ美術館では、ボアスレがヴァルラフと交換した『マリアの死』を見、諸々の祭壇画の背面に描かれた作品の展示を見学することもできた。バンベルクでは30数点のボアスレ由来の作品を実際に見ることができた。これらの知見に基づいて、ボアスレ由来の作品群の現状について相当程度まで明らかにできた。その結果は、既存の先行研究に大幅な修正を加える必要があることを指示している。先回の共同研究で作成したボアスレ・コレクションの現在に関する資料の修正を進めることとなった。
(2)については、前年度までの研究を継続して、シュレーゲル兄弟をはじめとするロマン派の思想家およびゲーテとボアスレとの交流に関する美術史と思想史の両側面からの考察を進めた。論争の焦点は、ボアスレの発掘した絵画を美術史・思想史のどこにどのように位置づけるかの問題である。この研究を進めるためには、(3)に上げたボアスレの残した資料の検討が不可欠である。解読と翻訳、注記の作業を進めているところである。
資料の収集と分析に注力したため、論文の形での公開が遅れている。研究会での報告に基づく論文公開が必要である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

理由
コロナウイルス蔓延による研究日程の1年間の繰り延べの結果、2022度の研究は2022年10月からとなり、現地調査は2023年度の研究と同時進行することとなった。研究会は、前年度予算で開催した対面による初の研究会が2022年9月だったこともあり、対面の研究会を2023年3月に新潟で開催するにとどまった。2022年度予算を繰り越しての海外調査は、訪問先の開館状況や研究分担者の校務との関連もあり、2024年2月末に2名の参加で時間をかけて集中的に行うこととなった。そのため、ここで得た知見の整理には今しばらくの時間が必要となる。
今回の共同研究は、成果をWEBページを作成してそこで公表する予定となっているため、冊子作製の予算は計上していない。また、WEB上での公開のために原稿を整理しているところであるため、現状では発表・公開に至っていない研究成果が多数蓄積されているので、このとりまとめにも時間がかかっている。

今後の研究の推進方策

2023年度の研究と同時進行することになるが、研究成果をWEB上で公開するために、論文・翻訳・資料等の形で文書化している努力を引き続き行う。
具体的には、(1)ロマン派についての研究をまとめること、(2)ロマン派の思想家、とりわけシュレーゲル兄弟の絵画論を翻訳するとともに、ボアスレおよびヘーゲルとの対比に関する論文を執筆すること、(3)ゲーテの絵画論をボアスレとの関連で考察すること、(4)同様に、ヴィンケルマンとの関連を考察することが課題である。
これまでの研究の知見に従えば、ロマン派の思想家・ロマン派の画家にとっての「ロマン主義」と、ヘーゲルやゲーテの考えるロマン主義の間には相当なずれがあることがわかる。このずれについての考察と、研究分担者間での討論が必要である。こうした諸点について、引き続き考察を深め、ヘーゲル絵画論におけるボアスレの影響についての結論を得ることを目指す。

備考

研究代表者である石川が勤務していた新潟県立大学のサイト上のWEBページは2023年3月31日の定年退職をもってこのページは登録抹消された。上記URL(1)は先行する科研費研究(課題番号26284020)で収集した資料を公開するためのもの、URL(2)と(3)は本研究のために研究分担者間で情報を共有することを目的に作成した非公開のサイトである。現在、本研究の成果を公表するためにサイトを準備中。

  • 研究成果

    (20件)

すべて 2023 2022 その他

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (10件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件) 図書 (3件) 備考 (3件)

  • [雑誌論文] 「男女共同参画と若手支援のこれから――本学会会員アンケート調査から考える――ワークショップ コメント」2023

    • 著者名/発表者名
      小島 優子
    • 雑誌名

      『宗教研究』

      巻: 96巻別冊 ページ: 311-312

  • [雑誌論文] 「複線径路・等至性モデル(TEM)を用いた看護学生のスピリチュアルケア過程の検討」2023

    • 著者名/発表者名
      上原 星奈、 清水 裕子、 小島 優子 共著
    • 雑誌名

      『香川大学看護学雑誌』

      巻: 27(1) ページ: 13-27

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 「社会福祉哲学についての一つの素描」2023

    • 著者名/発表者名
      片山 善博
    • 雑誌名

      『福祉研究』(日本福祉大学学内学会)

      巻: 116 ページ: 55-61

  • [雑誌論文] 「ヘーゲルにとって、そして我々にとって、「哲学史」とは何か」2022

    • 著者名/発表者名
      石川 伊織
    • 雑誌名

      『ヘーゲル哲学研究』

      巻: Vol. 28 ページ: 43-55

  • [学会発表] 「ゲーテと絵画~絵画論からみるゲーテの現象学」2023

    • 著者名/発表者名
      片山 善博
    • 学会等名
      臨床協働研究会
  • [学会発表] 「ヴィンケルマンの書簡」2023

    • 著者名/発表者名
      小島 優子
    • 学会等名
      本研究のための研究会(2023年3月6日・7日 新潟県立大学)
  • [学会発表] 「ペーター・フォン・コルネリウスとズルピッツ・ボアスレ―ボアスレの日記と書簡から―」2023

    • 著者名/発表者名
      落合 桃子
    • 学会等名
      本研究のための研究会(2023年3月6日・7日 新潟県立大学)
  • [学会発表] 「Atheneumの絵画論 A.W.Schlegelの対話篇」2023

    • 著者名/発表者名
      石川 伊織
    • 学会等名
      本研究のための研究会(2023年3月6日・7日 新潟県立大学)
  • [学会発表] 「Petra Maisak, ”Goethe und die Sammlung Boisseree in Heidelberg", SPUREN, 35, Marbach am Neckar 2000.の前半部訳出紹介」2023

    • 著者名/発表者名
      神山 伸弘
    • 学会等名
      本研究のための研究会(2023年3月6日・7日 新潟県立大学)
  • [学会発表] 「ヴァイマール・ミュンヘン調査報告」2023

    • 著者名/発表者名
      片山 善博
    • 学会等名
      本研究のための研究会(2023年3月6日・7日 新潟県立大学)
  • [学会発表] 「ゲーテの絵画論について」2022

    • 著者名/発表者名
      片山 善博
    • 学会等名
      社会文化学会・中部部会
  • [学会発表] 「ヨーロッパのもう一つの伝統:科学と芸術の間」2022

    • 著者名/発表者名
      片山 善博
    • 学会等名
      環境思想・教育研究会第22回研究定例シンポジウム
  • [学会発表] Das Erbe von Leben und Tod in Hegels Philosophie Eine internationale Tagung zur Hegelschen Philosophie: Mit dem Hauptvortrag: Professor Klaus Vieweg2022

    • 著者名/発表者名
      Yuko KOJIMA
    • 学会等名
      Universitaet Hiroshima
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 「男女共同参画ワークショップ コメント「日本哲学会と日本宗教学会における男女共同参画調査の比較」2022

    • 著者名/発表者名
      小島 優子
    • 学会等名
      日本宗教学会大会
    • 招待講演
  • [図書] 『ヘーゲル『精神現象学』をどう読むか-新たな解釈とアクチュアリティの探究』(片山善博・小井沼広嗣・飯泉佑介編著) 「第5章 『精神現象学』における「犠牲」の意味――「宗教」章を中心に」2023

    • 著者名/発表者名
      小島 優子
    • 総ページ数
      252
    • 出版者
      社会評論社
    • ISBN
      978-4784518951
  • [図書] 『ヘーゲル『精神現象学』をどう読むか-新たな解釈とアクチュアリティの探究』(片山善博・小井沼広嗣・飯泉佑介編著) 「人格と承認――ヘーゲルと福祉思想」2023

    • 著者名/発表者名
      片山 善博
    • 総ページ数
      252
    • 出版者
      社会評論社
    • ISBN
      978-4784518951
  • [図書] 『生命の倫理学』「死生学」2023

    • 著者名/発表者名
      片山 善博
    • 総ページ数
      200
    • 出版者
      大月書店
    • ISBN
      978-4272431076
  • [備考] ヘーゲルの芸術体験

    • URL

      http://www2.mmc.atomi.ac.jp/~kamiyama/hegel/kunst/index-kunst.html

  • [備考] ヘーゲル美学講義における絵画論の芸術哲学的な意義とボアスレ・コレクション

    • URL

      https://www.idealismus.sakura.ne.jp/kunst/

  • [備考] 石川伊織研究室

    • URL

      http://www.idealismus.sakura.ne.jp/unii/

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公開日: 2024-12-25  

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