研究課題/領域番号 |
20H01227
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
多久和 理実 東京工業大学, リベラルアーツ研究教育院, 講師 (20814718)
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研究分担者 |
塚原 東吾 神戸大学, 国際文化学研究科, 教授 (80266353)
平野 葉一 東海大学, 文学部, 教授 (20189856)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 科学史 / 科学機器 / 光学 / プリズム / アイザック・ニュートン |
研究実績の概要 |
1年目にあたる2020年度は、2年目以降に予定されている歴史的なプリズムの測定に備えて、試験測定の準備と予備調査を行った。 予備調査の成果1件目は、博物館資料(科学機器)の活用についての研究発表会である。2020年12月の科学技術社会論学会年次研究大会において、オーガナイズド・セッション「博物館資料を活用した科学史の研究および展示・演示・アーカイブ化の試み」として開催した。博物館資料を活用した科学史研究では、失敗や工夫などの過程の情報が共有されにくいことから、5件の研究事例を紹介しつつ、今後の課題を議論した。うち3件の発表は、本研究課題の分担研究者・研究協力者によるものである。 予備調査の成果2件目は、図録『姫路科学館収蔵旧制姫路高等学校コレクション物理実験機器資料』の発行である。姫路科学館に収蔵されている歴史的な実験機器328点の情報を掲載した。これらの実験機器は購入時期や購入元の情報が判明している国内でも珍しい資料であり、図録の情報と比較すれば、国内に現存する他の歴史的な実験機器の来歴が明らかになることが期待される。 予備調査の成果3件目は、ニュートンの歴史研究についての研究発表会である。当初は2020年5月の日本科学史学会年会において開催する予定であったが、年会自体が中止となった。そのため、1年間の追加調査の結果を加えて、2021年5月の日本科学史学会年会において、シンポジウム「「新たなニュートン像」を越えて:数学、音楽、光学そしてニュートン主義における試み」として開催予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の研究計画と比べて、遅れている点が2つある。2020年度中に国内の歴史的プリズムの試験測定を完了させる予定だったが、新型コロナウイルス感染拡大のため姫路科学館が閉館になり、東京からの出張測定が困難となったため、完了できなかった。また、2020年度の日本科学史学会年会が中止になったため、計画していたアイザック・ニュートンについてのシンポジウムを翌年の年会に延期することになった。 一方で、当初の計画以上に進展があった点が1つある。図録『姫路科学館収蔵旧制姫路高等学校コレクション物理実験機器資料』の発行である。姫路科学館に収蔵されている歴史的な実験機器328点の情報を掲載した。これらの実験機器は購入時期や購入元の情報が判明している国内でも珍しい資料であり、図録の情報と比較すれば、国内に現存する他の歴史的な実験機器の来歴が明らかになることが期待される。 以上の3点を総合して、2021年度以降に当初の計画に戻すことが可能な範囲ではあるものの、「やや遅れている」と結論する。
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今後の研究の推進方策 |
2年目にあたる2021年度は、秋以降に予定されている海外での本測定に備えて、国内および海外の研究者と情報交換しながら測定準備と文献調査を進める。アッベ屈折計を用いた多波長でのガラスの屈折率の測定に習熟する。ニュートンについての歴史研究の調査と、博物館資料(科学機器)の活用についての調査を継続する。 2021年度後半から3年目の2022年度にかけて、海外で本測定を実施する。アッベ屈折計をイギリスに運搬し、大英博物館、王立医科協会、ウィップル科学史博物館、レン図書館に持ち込んで収蔵されている「ニュートンのプリズム」計5点の屈折率を本測定する。その後イタリアに運搬し、トレヴィーゾ市立博物館に所蔵されている「ニュートンのプリズム」計3点を本測定する。全8点のプリズムを分析することによって、ニュートンが残した実験記録に最も近いプリズムを特定する。特定されたプリズムと同じ光学特性を持つ現代のガラスを利用してプリズムを複製する。複製プリズムによる模擬実験を行い、実現される実験精度がニュートンの実験記録と一致するか確認する。アッベ屈折計をオランダに運搬し、ブールハーフェ博物館、タイラース博物館、ユトレヒト大学博物館に持ち込んで収蔵されている「スフラーフェサンのプリズム」計11点の屈折率を本測定する。これらのプリズムが作製された際の機器職人やガラス産地についてオランダ国立文書館を中心に史料収集する。スフラーフェサンが実現した実験精度を、ニュートンの実験精度と比較する。 4年目の2023年度は、本測定の結果をまとめたシンポジウムを開催する。
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