研究課題/領域番号 |
20H01236
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研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
小峯 和明 立教大学, 名誉教授, 名誉教授 (70127827)
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研究分担者 |
鈴木 彰 立教大学, 文学部, 教授 (40287941)
染谷 智幸 茨城キリスト教大学, 文学部, 教授 (90316498)
河野 貴美子 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (20386569)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 異文化交流文学史 / 東アジア / 16世紀前後 / 幻想領域 / 資料学 |
研究実績の概要 |
前年度に続き、16世紀前後を中心とした日本と東アジアの〈異文化交流文学史〉をめぐって、外交使節、渡海・漂流、交易、宗教、対外戦争の5項目に及ぶ基本軸を設定し、さらには幻想・架空の異文化交流をも加えて、それぞれ日本・中国・朝鮮半島・ベトナムなどに及ぶ範囲で総合的に検証する枠組みを構築し、関連する一次資料と研究文献を収集、リストを作成、資料集にまとめる基盤を整えた。 21年度もやはり海外調査は出来なかったが、国内は京都大学、紀伊田辺の南方熊楠顕彰館、法輪寺等々、主に関西を中心に関連資料調査ができた。法輪寺の大蔵経の調査は予備調査に止まったが、特に南方熊楠旧蔵の異文化交流文学に関連する資料群の調査ができた。 11月、当初は北京の中国人民大学で〈異文化交流文学史〉をめぐるシンポジウムを開催予定だったが、コロナ禍が収まらないため、当初の計画を縮小して人民大学を主会場としつつ、オンライン併用のハイブリッド方式に切り替え、ワークショップを行った。代表者と分担者、作業グループを中心に6名が発表、さらに6名のコメンテーターとして人民大学及び東アジア古典研究会のメンバーにベトナムからの参加も得て活発な議論が交わされた。その成果報告はニュースレター第2号にまとめることができた。当初は全くの手探り状態であったが、2年間で何とか方向性が見えてきたと言える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
1.研究会の組織化と継続:日本と東アジアの〈異文化交流文学史〉課題遂行のための研究組織として、朝鮮漢文を読む会、ベトナム漢文を読む会、日韓古典研究会、南方熊楠資料研究会、キリシタン文学研究会、さらに北京を主とする東アジア古典研究会等々、活動中の各種研究会とタイアップするかたちでオンラインでの研究会を推進した。 2.資料集作成のための作業部会:資料集作成のための作業部会を中心に、学期ごとに部会をオンライン開催し、進捗状況の報告、種々の情報や意見交換を緊密に行った。分野が多岐にわたるため作業がいささか煩雑化し予定よりやや遅れているが、最終年度内の完成をめざしている。 3.資料の調査・収集:予定していた海外調査は短期間の渡航が難しく、すべて未遂に終った。国内調査では京都大学、紀伊田辺の南方熊楠顕彰館に赴いた。予定していた法輪寺の本調査は、蔓延防止措置によって中止となり、継続調査が必要である。 4.国際シンポジウム及びワークショップの企画、開催:北京の中国人民大学を拠点にハイブリッド方式で〈異文化交流文学史〉をめぐるワークショップを開催、活発な議論が交わされ、最終年度に開催予定の国際シンポジウムへの足がかりができた。 5.ニュースレターの編集、発行:作業部会を中心にニュースレターを編集、発行した。人民大学とのワークショップをもとにまとめた。論文集公刊への橋渡しができた。
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今後の研究の推進方策 |
1.研究会の組織化と継続:従前の北京を中心とする東アジア古典研究会以下、朝鮮漢文を読む会、ベトナム漢文を読む会、日韓古典研究会、南方熊楠資料研究会、キリシタン文学研究会等々に加えて、コロナ禍で休会中の琉球資料を読む会を再開する。徐々に対面の研究会を復活させ、同時に遠隔地や海外メンバーも参加できるようハイブリッド方式を確定し、推進する。 2.資料集作成のための作業部会:作業部会を中心に資料集作成のための基礎データ集積作業を継続、学期ごとに部会を開催し、情報や意見交換を密にし、資料集公刊に向けて資料のリストアップを促進して体系的なデータ目録を集積統合し、主要資料群の解題の分担執筆を併行して進め、資料集刊行に向けて統合する。同時に作成リストにもとづいて資料収集を徹底する。 3.資料の調査・収集:感染状況次第ではあるが、出入国に際して隔離措置のない国(韓国など)については、実地の踏査や資料調査に赴く。国内調査は前年度から継続の紀伊田辺の南方熊楠顕彰館及び法輪寺、大阪中之島図書館等々に加えて、広島の美術館や長崎周辺のキリシタン資料をはじめ西日本や九州地区の調査に重点を置く。 4.国際シンポジウム及びワークショップの企画、開催:最終年度の11月に立教大学で日本と東アジアの〈異文化交流文学史〉をテーマに国際シンポジウムを企画、開催する。さらに、12月に長崎で説話文学会と共催の形で、キリシタン文学のシンポジウムを企画、開催する。 5.ニュースレターの編集・発行及び論文集・資料集の公刊:初年度、次年度を受けたニュースレターの第3号を作業部会主体で編集、発行する。立教大学での国際シンポジウムをもとに論文集を編集、公刊する(出版社も内定)。これに合わせて作業部会を中心に資料集を編集、公刊する。以上はすべて代表者と分担者及び研究会、作業部会等々のメンバーと合同で遂行し、研究協力体制の推進をはかる。
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備考 |
小峯和明「南方熊楠の「十二支考」―大蔵経の抜書きと熊楠の語り」(京都大学南方熊楠ゼミナール、2021年)。染谷智幸「東アジア文化講座ー各巻のねらい」(早稲田大学国際日本学研究所ワークショップ、2021年)。 染谷智幸「16・17世紀における中朝日の古典小説とその背景としての交易・交流」、河野貴美子「儒者の学問と異文化交流―林鵞峰を中心に」(小峯和明基盤研究(B)ワークショップ、2021年)。
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