研究実績の概要 |
本研究では「二十世紀ロシア文学の発展に関する総合的研究:異化・越境・ポスト近代を鍵概念に」という研究題目の下、世界文学史的に見ても特異な発展を遂げた二十世紀ロシア文学についての総合的研究を進めている。鍵概念となるのは「異化・越境・ポスト近代」である。これによって二十世紀ロシア文学の発展の特殊性を明らかにできるとともに、二十世紀の世界文学において果たした役割も明らかにできると考えられる。 2021年度は新型コロナ感染および2022年2月末に勃発したウクライナ戦争のため、海外調査などができなかったが、文献資料の分析を進め、現代ロシア文学・文化に関する調査を行った。 その中心的成果としては、国際共同論集の編集・出版が挙げられる:Valerij Gretchko, Hye Hyun Nam, Susumu Nonaka, SooHwan Kim, (eds.), Russian Culture on the Crossroads of History: Far East, Close Russia. Vol. 4. Belgrade-Seoul-Saitama: Logos, 2021.10. 428 p.東アジア(日本、韓国、台湾〉以外に、ロシアやセルビアなど東欧の研究者が参加しており、本研究の国際的成果・発信である。 また、研究代表者の単著論文が査読付き国際学術誌に発表された:野中進「人は何に慣れることができて、何を忘れてはいけないのか:A. プラトーノフの伝統主義によせて」【原文ロシア語】、Studia Literarum〈世界文学研究所〉、2021年、第6冊、第4号、300ー313.ロシア文学研究の世界的中心地の一つである世界文学研究所(モスクワ)が発行する雑誌であり、重要な成果と考えられる。
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