• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2021 年度 実績報告書

「アルプス神話」の形成と脱構築―スイスの国民統合における文化的表象のポリティクス

研究課題

研究課題/領域番号 20H01248
研究機関長崎大学

研究代表者

葉柳 和則  長崎大学, 多文化社会学部, 教授 (70332856)

研究分担者 増本 浩子  神戸大学, 人文学研究科, 教授 (10199713)
川島 隆  京都大学, 文学研究科, 准教授 (10456808)
中川 拓哉  名古屋大学, 人文学研究科, 博士研究員 (10829906)
中村 靖子  名古屋大学, 人文学研究科, 教授 (70262483)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2024-03-31
キーワードスイス / 文化史 / 文化政策 / 文化表象
研究実績の概要

2022年4月に、オンラインにて2021年度の成果報告のための研究会を開催した。同時に、2022年度の研究計画を立てた。
2022年8月に増本が、9月に川島と葉柳が、スイスとドイツにおいて、アーカイブ調査を行った。主たる調査地は、ツーク州アーカイブ、ヨハンナ・シュピリ資料館、マックス・フリッシュ・アーカイブ、ベルン大学図書館である。ツーク州アーカイブでの調査によって、これまでほとんど研究されてこなかったスイスの政治家フィリップ・エッターが、「多文化共生の地としてのアルプス」というイメージを、1930年代から40年代にかけてのスイスの文化政策の核に据えていくプロセスが明らかとなった。ヨハンナ・シュピリ資料館での調査結果は、スイスと日本(浜松市)における博物館展示につながった。
2023年2月に、神戸大学の久山雄甫氏をゲストに招き、本プロジェクトのメンバーの専門とする時代よりも前、17世紀から18世紀にかけてのアルプス表象について、ヨハン・ゴットフリート・ヘルダーを中心にして講演をしていただき、その後、本プロジェクトにつながる表象の系譜について議論した。
2023年3月に、名古屋大学にて対面の研究会を開催し、2022年度の成果報告をするとともに、2023年度に国際シンポジウムINTERFACEingにおいて、本プロジェクトのパネルImage der Alpen und "das Nationale"を立てる方針を決めた(パネルの申請は受理された)。
業績のリストにあるように、この間、各メンバーが個別に学会発表、論文投稿、書籍出版を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

プロジェクトが採択されて以降、コロナウイルス禍において、スイスやドイツでの資料調査を実施する事ができず、当初の計画を修正しつつ研究を実施せざるをえなかった。そのため予算の繰越しが必要であった。しかし、2022年夏以降、海外調査を大きな制限なく行う環境が整ったため、研究実施の枠組みを当初の計画に近づけつつ、研究を遂行することができた。メンバーは着実に個別の成果を発表しており、それを踏まえて、2023年度に国際シンポジウムでのパネルImage der Alpen und "das Nationale"という形で、全員の成果を「アルプス表象の政治学」という視点から一貫した形で公開できるところまで進展した。それゆえ「おおむねに順調に進展している」と評価できる。

今後の研究の推進方策

2023年度は、国際シンポジウムINTERFACEingでパネルImage der Alpen und "das Nationale"を立て、ドイツ語にて成果発表を行う。質疑応答の結果を踏まえて、INTERFACEingが刊行している国際学術誌に、英文で特集を組むことを計画している。これによって、プロジェクトの研究成果を、ドイツ語圏のみならず、英語圏に向けて発信することを目指す。
本研究の特徴の1つは、綿密なアーカイブ調査にある。そのため、コロナウイルス禍において十分に調査できなかった資料も含め、当初予定していた現地調査を本格的に実施する。
この科研費の枠内での成果発表は、上記国際学術誌での特集が最後になるが、その後も継続して科学研究費を申請するなどして、最終的には共著で研究書を上梓する予定である。

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 2件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 地下にあるもうひとつのスイス―デュレンマットの短編小説『チベットの冬戦争』におけるアルプスの表象2023

    • 著者名/発表者名
      増本浩子
    • 雑誌名

      神戸大学文学部紀要

      巻: 第50号 ページ: 1-21

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] ヨハンナ・シュピーリ原作"ハイジ"の視覚化の歴史と現代的意義―浜松市美術館完全オリジナル企画「ハイジ展-あの子の足音が聞こえる-」から2023

    • 著者名/発表者名
      川島隆・ちばかおり・島口直弥
    • 雑誌名

      京都大學文學部研究紀要

      巻: 62 ページ: 497-517

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 「文学者としての従軍報告──岸田國士『北支物情』・『従軍五十日』から──」2023

    • 著者名/発表者名
      中川拓哉
    • 雑誌名

      『名古屋大学人文学研究論集』

      巻: 第6号 ページ: 155-174

    • DOI

      10.18999/jouhunu.6.155

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 全体主義に抗する全体主義? ;オーストリア併合前夜におけるフィリップ・エッターの社会-文化構想2022

    • 著者名/発表者名
      葉柳和則
    • 雑誌名

      独文学報(大阪大学ドイツ文学会)

      巻: 38号 ページ: 29-50

    • 査読あり
  • [学会発表] 全体主義に抗する全体主義?;第二次世界大戦勃発期のスイスにおける社会構想2022

    • 著者名/発表者名
      葉柳和則
    • 学会等名
      日本国際文化学会第21回全国大会
  • [学会発表] 現代スイスを理解するための基礎知識2022

    • 著者名/発表者名
      増本浩子
    • 学会等名
      広島独文学会主催第3回レクチャー講演会(オンライン開催)
    • 招待講演
  • [学会発表] 「人間・社会・自然の来歴と未来:「人新世」における人間性の根本を問う」研究活動報告2022

    • 著者名/発表者名
      中村靖子
    • 学会等名
      課題設定による先導的人文学・社会科学研究推進事業シンポジウム「未来社会を見据えた人文学
  • [学会発表] 『ハイジ』イラスト化の歴史―浜松市美術館「ハイジ展」から考える2022

    • 著者名/発表者名
      川島隆
    • 学会等名
      スイス文学会
  • [学会発表] 世界のハイジ/日本のハイジ2022

    • 著者名/発表者名
      川島隆
    • 学会等名
      浜松市美術館
    • 招待講演
  • [図書] 予測と創発―理知と感情の人文学2022

    • 著者名/発表者名
      中村靖子編
    • 総ページ数
      503
    • 出版者
      春風社
    • ISBN
      978-4861108365

URL: 

公開日: 2023-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi