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2020 年度 実績報告書

フランス・ロマン主義の歴史的展開についての研究――文学、政治、美学

研究課題

研究課題/領域番号 20H01249
研究機関立教大学

研究代表者

菅谷 憲興  立教大学, 文学部, 教授 (50318680)

研究分担者 数森 寛子  愛知県立芸術大学, 美術学部, 准教授 (10588239)
真野 倫平  南山大学, 外国語学部, 教授 (30257232)
片岡 大右  慶應義塾大学, 商学部(日吉), 講師(非常勤) (30600225)
海老根 龍介  白百合女子大学, 文学部, 教授 (40439500)
山崎 敦  中京大学, 教養教育研究院, 教授 (70510791)
中島 太郎  中京大学, 国際学部, 准教授 (70802867)
辻川 慶子  白百合女子大学, 文学部, 教授 (80538348)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2024-03-31
キーワードロマン主義 / フランス文学 / 政治 / 美学 / 歴史 / 哲学 / 科学
研究実績の概要

当初の予定通り、初年度は研究代表者・分担者が各々担当する領域について知識を深めながら、定期的に研究会を開き、各人の研究成果を報告し、かつ議論することに努めた。全6回研究会を開催したが、本研究の射程を広げる目的で、そのうち2回は科研のメンバー以外の研究者を講師に呼び、それぞれフランス現代思想とドイツ・ロマン主義の関わり(第4回)、ロマン主義と同時代のスピノザ受容の関係(第6回)について発表してもらった。なお、コロナ禍のため、研究会はすべてzoomを用いたオンラインで開催した。詳細は以下の通りである。
1.9月4日(金)13:00~16:00 発表者:山崎敦「暗示と媒介――ボヴァリスムからブヴァールディスムへ」/2.9月19日(土)15:00~18:00 発表者:数森寛子「ヴィクトル・ユゴーにおける芸術の有用性の思想:『ウィリアム・シェイクスピア』(1864年)を中心として」/3.12月12日(土)10:30~13:30 発表者:菅谷憲興「フローベール 科学と美学」/4.12月26日(土)14:00~17:00 発表者:郷原佳以(東京大学)「ブランショとロマン主義」/5.3月6日(土)14:00~17:00 発表者:海老根龍介「統一と断片:ボードレールにおける美学と社会観」/6.3月18日(木)14:00~17:00 発表者:村松正隆(北海道大学)「19世紀フランスにおけるスピノザ受容と「哲学史」の書き換え」
また、当初3月に参加を予定していた国際シンポジウムがコロナ禍のため延期されたため、一部の金額を翌年、さらに翌々年に繰り越すことになった。最終的に、菅谷・山崎・中島の三人が、2022年6月にパリの国立古文書館で開かれたシンポジウム「フローベールとその世紀」に参加して、本研究で得られた成果の一端を発表することができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

コロナ禍の影響を受け、当初は研究会の開催も危ぶまれたものの、その後zoomを用いたオンライン研究会という形に切り替えることにより、結果として当初の予定以上に、活発な研究活動を行うことができたと考えている。実際、本研究のメンバーは半数が東京、もう半数が名古屋を拠点にしていることもあり、元々予定していなかったこのオンラインという形式が、議論の活性化には逆に有益であることが明らかになった。
研究発表の内容についても、哲学(第1回、第4回、第6回)、美学と政治(第2回)、科学と文学(第3回)、美術史と文学(第5回)と、まさに多様なテーマを扱うことができた。特に第4回と第6回は、フランス19世紀文学の専門家ではない外部の講師、それぞれフランス現代思想の専門家とフランス19世紀哲学の専門家を招聘することにより、まったく新しい視点からロマン主義にアプローチすることができたのは大きな成果である。さらに最初は本科研のメンバーだけで始めた研究会自体も、回を追うごとにより多くの外部の研究者が参加するようになり、毎回議論が活性化している。
研究の成果に関しても十分な数の業績を挙げており、全体として順調に研究が進捗しているといえる。繰越し手続きを経て2022年に行った海外出張についても、パリの国際シンポジウムにおける菅谷・中島・山崎の発表はすべて、2023年中にフランスのHermann社から出版される論集に収録されることが決定している。

今後の研究の推進方策

二年目以降も研究会は定期的に(当面はオンラインで、感染収束後は対面をまじえて)開催する予定である。問題意識を広げるためにも、本科研のメンバーのみならず、定期的に外部の研究者を発表者もしくはコメンテーターとして招聘していく。また、2021年11月にルーアンとパリでフローベール生誕二百周年にかかわる国際シンポジウムが開かれるが、そこに菅谷・山崎の二名が招聘されており、本研究の成果を活かした研究発表を行うことになっている(その後、コロナ禍のため2022年12月に延期)。
さらに二年目の3月に本科研のメンバーを中心にしたフランス語による国際シンポジウムを企画している(結局、コロナ禍のため2023年3月に延期)。テーマは「ロマン主義と第二帝政期の文学」であり、十九世紀前半のロマン主義にかかわるセッションと世紀中葉の第二帝政期を代表する二人の作家であるボードレールとフローベールにかかわるセッションをまじえて、本科研の中心課題である「文学の自律性の起源とその展開」の問題に迫ることを目的とする。2021年はフローベールとボードレールの生誕二百周年でもあり、国内の研究者だけでなく、フランスからもこの問題に造詣の深い研究者を五名招聘して、活発な議論を行う。東京(立教大学)と名古屋(中京大学)で三日間開催し、その後フランス語および日本語での成果の出版を目指す。
最後に、日本およびフランスでの国際シンポジウムに加えて、コロナ禍のため自粛していたフランスへの文献調査もできるだけ早く再開し、国際学術交流を再び活性化させていきたい。

  • 研究成果

    (29件)

すべて 2022 2021 2020

すべて 雑誌論文 (14件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 8件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 3件、 招待講演 5件) 図書 (7件)

  • [雑誌論文] 民主主義の時代における文学の困難―アントワーヌ・コンパニョン『文学史の誕生』書評2021

    • 著者名/発表者名
      菅谷 憲興
    • 雑誌名

      週刊読書人

      巻: 3373 ページ: 3

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] ロマン主義時代の生命観 : ジョン・ブラウンとドイツ・ロマン派2021

    • 著者名/発表者名
      菅谷 憲興
    • 雑誌名

      立教大学フランス文学

      巻: 50 ページ: 19~32

    • DOI

      10.14992/00021598

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 歴史におけるフィクションの役割 : コルバン『知識欲の誕生』、ヴネール、ブシュロン『条件法の歴史』について2021

    • 著者名/発表者名
      真野 倫平
    • 雑誌名

      南山大学 ヨーロッパ研究センター報 = Bulletin of the Nanzan Center for European Studies

      巻: 27 ページ: 13~23

    • DOI

      10.15119/00003095

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] フランス第二共和政期における「教育の自由」をめぐる議論 : ヴィクトル・ユゴーによるファルー法反対演説(2)2021

    • 著者名/発表者名
      数森 寛子
    • 雑誌名

      愛知県立芸術大学紀要

      巻: 50 ページ: 3-14

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] Reflexion sur l’indecidable flaubertien : a partir de la traduction de Bouvard et Pecuchet en japonais2020

    • 著者名/発表者名
      Norioki Sugaya
    • 雑誌名

      Flaubert. Revue critique et genetique

      巻: 24 ページ: -

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 死後も続けられる生の伝記―イヴァン・ジャブロンカ『歴史家と少女殺人事件』書評2020

    • 著者名/発表者名
      菅谷 憲興
    • 雑誌名

      週刊読書人

      巻: 3353 ページ: 5

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] Suggestion et mediation : du bovarysme au bouvardisme2020

    • 著者名/発表者名
      Atsushi Yamazaki
    • 雑誌名

      Flaubert. Revue critique et genetique

      巻: 24 ページ: -

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] L’esthetique de la foule chez le dernier Baudelaire2020

    • 著者名/発表者名
      Ryusuke Ebine
    • 雑誌名

      L’Annee Baudelaire

      巻: 23 ページ: 147-157

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 宮川朗子・安川孝・市川裕史(著)『フランス大衆小説研究の現在』、広島大学出版会、2019年書評2020

    • 著者名/発表者名
      辻川 慶子
    • 雑誌名

      cahier

      巻: 26 ページ: 3-4

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 人間の顔をした野蛮がわたしたちの宿命なのか―コロナ下の世界2020

    • 著者名/発表者名
      スラヴォイ・ジジェク、片岡 大右
    • 雑誌名

      世界

      巻: 933 ページ: 38-45

  • [雑誌論文] 「世界を革命する力」はどこにあるのか―松田青子『持続可能な魂の利用』書評2020

    • 著者名/発表者名
      片岡 大右
    • 雑誌名

      週刊読書人

      巻: 3344 ページ: 2

  • [雑誌論文] 未来を開く――デヴィッド・グレーバーを読む2020

    • 著者名/発表者名
      片岡 大右
    • 雑誌名

      群像

      巻: 75 (9) ページ: 331-345

  • [雑誌論文] 懐疑的に、けれど「とりあえず信じること」――デヴィッド・グレーバーの死に寄せて2020

    • 著者名/発表者名
      片岡 大右
    • 雑誌名

      図書新聞

      巻: 3467 ページ: 3

  • [雑誌論文] 「神秘的な、楽しい未来」に向けて――デヴィッド・グレーバーを読み続けるために2020

    • 著者名/発表者名
      片岡 大右
    • 雑誌名

      群像

      巻: 75(11) ページ: 226-243

  • [学会発表] Flaubert et la science romantique2022

    • 著者名/発表者名
      Norioki Sugaya
    • 学会等名
      Colloque international "Flaubert dans son siecle"
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Flaubert et l’eclectisme2022

    • 著者名/発表者名
      Atsushi Yamazaki
    • 学会等名
      Colloque international "Flaubert dans son siecle"
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] L’anticlericalisme de Flaubert et l’idee laique au XIXe siecle2022

    • 著者名/発表者名
      Taro Nakajima
    • 学会等名
      Colloque international "Flaubert dans son siecle"
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] ネルヴァルと集合性の夢―ロマン主義時代における作家の表象と集合的エクリチュール2021

    • 著者名/発表者名
      辻川 慶子
    • 学会等名
      文芸事象の歴史研究会
  • [学会発表] フローベールとスピノザー『ブヴァールとペキュシェ』をめぐって2020

    • 著者名/発表者名
      山崎 敦
    • 学会等名
      「二つのスピノザ・ルネッサンスの狭間―十九世紀フランス哲学におけるスピノザの影」(基盤研究B)第9回研究会
    • 招待講演
  • [学会発表] フローベールとスピノザー『聖アントワーヌの誘惑』をめぐって2020

    • 著者名/発表者名
      山崎 敦
    • 学会等名
      スピノザ協会2020年度総会
    • 招待講演
  • [学会発表] 現代フランス歴史学の一傾向2020

    • 著者名/発表者名
      真野 倫平
    • 学会等名
      日本フランス語フランス文学会2020年度秋季大会・ワークショップ「文学と歴史(学)の関係を問い直す」
  • [学会発表] ネルヴァルとレチフ・ド・ラ・ブルトンヌ2020

    • 著者名/発表者名
      辻川 慶子
    • 学会等名
      レチフ研究会
  • [図書] スピノザと十九世紀フランス2021

    • 著者名/発表者名
      山崎 敦、上野 修、杉山 直樹、村松 正隆
    • 総ページ数
      354
    • 出版者
      岩波書店
    • ISBN
      9784000010887
  • [図書] 日常の中の聖性2021

    • 著者名/発表者名
      海老根龍介、釘宮明美、海老原晴香、石井雅之、岩政伸治、今村純子、福田耕介、稲葉景、上田圭委子
    • 総ページ数
      205
    • 出版者
      教友社
    • ISBN
      9784907991692
  • [図書] 都市科学事典2021

    • 著者名/発表者名
      横浜国立大学都市科学部、海老根龍介
    • 総ページ数
      1052
    • 出版者
      春風社
    • ISBN
      9784861107344
  • [図書] 歴史家と少女殺人事件2020

    • 著者名/発表者名
      イヴァン・ジャブロンカ、真野 倫平
    • 総ページ数
      400
    • 出版者
      名古屋大学出版会
    • ISBN
      978-4-8158-0993-5
  • [図書] 民主主義の非西洋起源について2020

    • 著者名/発表者名
      デヴィッド・グレーバー、片岡 大右
    • 総ページ数
      192
    • 出版者
      以文社
    • ISBN
      978-4753103577
  • [図書] 古井由吉2020

    • 著者名/発表者名
      河出書房新社編集部、片岡 大右
    • 総ページ数
      288
    • 出版者
      河出書房新社
    • ISBN
      978-4309028972
  • [図書] 加藤周一を21世紀に引き継ぐために2020

    • 著者名/発表者名
      三浦信孝、鷲巣力、片岡 大右
    • 総ページ数
      456
    • 出版者
      水声社
    • ISBN
      978-4801005136

URL: 

公開日: 2023-12-25  

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