研究課題/領域番号 |
20H01250
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研究機関 | 東京外国語大学 |
研究代表者 |
近藤 信彰 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 教授 (90274993)
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研究分担者 |
大塚 修 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (00733007)
山中 由里子 国立民族学博物館, 学術資源研究開発センター, 教授 (20251390)
菅原 由美 大阪大学, 言語文化研究科(言語社会専攻、日本語・日本文化専攻), 教授 (80376821)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ペルシア語歴史物語 / ハムザ物語 / ハーティム・ターイー / 王書 |
研究実績の概要 |
初年度である2020年度は、主に分担者、協力者との知見の交換、海外の研究者との共同研究の準備を行った。2020年7月11日には国際ワークショップTwo popular romances in the Persianate Societies: the Hamza-nama and the Hatam-namaをハイブリッド方式で開催した。これにおいて、研究協力者の山本久美子氏(独立研究者)が“『ハムザ物語』と『王書』を比較し、Shahbaz Pegah氏(アジア・アフリカ言語文化研究所客員准教授)が、気前よさで知られる6世紀のアラビア半島の人物を主人公とする『ハーティム・ターイー物語』を扱った。いずれも、インド亜大陸で流行したペルシア語の歴史物語であるという共通性がある。初めてのハイブリッド開催ということで、技術的な問題もあったが、海外の有名研究者の参加者もあり、有意義であった。 客員教授として来日予定だったライデン大学のBen Arps氏は、コロナ禍のため、来日を断念せざるをえなかったが、彼を登壇者に迎えて2021年6月21日に“Hamza around the Java Sea”という国際ワークショップをオンラインで開催した。これにより、東南アジアにおける『ハムザ物語』についての研究の最先端を共有することができた。 さらに、オンラインを利用してのクローズドな勉強会を行い、分担者、協力者間で知識の共有をはかり、関連の資料の収集、研究成果出版のための海外の出版社との接触など、十分な研究活動ができた。海外からの研究者の招聘はできなかったが、予算の繰越により、2021年度にトルコでの資料調査を行い、『ハムザ物語』等ペルシア語歴史物語のオスマン・トルコ語バージョンを集めることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ禍で海外の学会が延期になり、また、海外からの研究者の招聘は日本政府の入国方針によりキャンセルせざるを得なかった。しかし、会議用ソフトウェアの普及により、オンラインで国内外の研究者とワークショップを開催することができた。コロナ禍で世界各地のデジタルライブラリーがさらに充実して、インターネットを活用して資料の収集に当たることもできた。研究成果の出版についても、すでに海外の出版社と交渉を開始し、好感触を得ている。繰越制度を利用して、海外での調査にも着手することができた。以上のように、初年度としては十分な活動ができたため。
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今後の研究の推進方策 |
コロナの感染状況にも左右されるが、少しずつ海外への渡航が可能となっているので、2020年度にできなかった海外での資料調査や海外の学会での報告を進めて行きたい。具体的には2022年8月のAssociation for Iranian Studiesの『ハムザ物語』のパネルに参加すること、同9月のDeutsche Morgenlandische Gesellschaftにパネル参加することである。 また、収集した資料の分析を進め、国内の研究会でフィードバックを得て、2023年度に予定してる国際会議に備えたい。
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