研究課題/領域番号 |
20H01255
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研究機関 | 東京外国語大学 |
研究代表者 |
齋藤 スニサー 東京外国語大学, 世界言語社会教育センター, 教授 (60791671)
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研究分担者 |
野元 裕樹 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 准教授 (10589245)
ソンラートラムワニッチ ウィラット 武蔵野大学, データサイエンス学部, 教授 (20849062)
谷口 龍子 東京外国語大学, 大学院国際日本学研究院, 准教授 (20570659)
南 潤珍 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 准教授 (30316830)
三宅 良美 秋田大学, 国際資源学研究科, 教授 (70396547)
SRI BUDILESTARI 立命館アジア太平洋大学, 言語教育センター, 講師 (80833342)
春日 淳 神田外語大学, 外国語学部, 教授 (80364925)
岡野 賢二 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 准教授 (60376829)
トゥザ ライン 東京外国語大学, 世界言語社会教育センター, 准教授 (90868879)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 代名詞代用表現 / 呼びかけ表現 / 人称代名詞 / 言語資源 |
研究実績の概要 |
本研究は、日本語の「お母さん」のように、人称代名詞ではないものの、話し手・聞き手を指示する「代名詞代用表現(pronoun substitute)」およびそれと関連の深い「呼びかけ表現(address term)」について、8言語(日本語、朝鮮語、マレー語、インドネシア語、ジャワ語、タイ語、ベトナム語、ビルマ語)を対象とし、通言語的研究を行う。「どのような表現が代名詞代用表現・呼びかけ表現として用いられるか?」という問いを立て、個別言語レベル、通言語レベルで、多言語の専門家が協同で記述・分析、言語資源構築を行う。 初年度である今年度は、3回の研究会をオンラインで実施した。第1回研究会では、日本語の先行研究(田窪行則. 1997.「日本語の人称表現」)に基づいて、全員で議論し、共通の土台づくりを行った。続く2回の研究会では、8言語の先行研究で代名詞代用・呼びかけ表現がどのように扱われてきたかについて研究発表を行った。2つの現象が区別されているか,どのような名称が用いられているか,どのような形式的・意味的特徴が報告されているか,人称代名詞との関係についてどのような記述がなされているかと具体例を共通の調査事項とした。第2回研究会で扱った言語とマレー語について、共著論文としてまとめて発表した。 代名詞代用表現・呼びかけ表現となる具体的な形式の網羅的リストの設計を行い、オンラインで入力できるシステムとして実装した。各形式について、形式的特徴(普通名詞、固有名詞、指示代名詞、など)、素性に基づく意味分類、「~さん」のような敬称になるか、代名詞代用表現になるか、呼びかけとして使えるか、敬称・代名詞代用表現・呼びかけとしての例文、話者の指定、意味を区別するWordnet IDなどを入力するようになっている。意味素性、入力項目、システムの改良を繰り返し、現在288項目のデータが入力済みである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画では、代名詞代用表現・呼びかけ表現となる具体的な形式の網羅的リストは、まず他の言語の調査結果をもとに未調査であった表現を割り出し、対応する表現に関する情報が全言語で出そろうようにし、その後、来年度入力項目の詳細を詰める計画であった。前者は今年度できなかったが、代わりに、後者を今年度に(ほぼ)確定することができた。また、入力システムは簡単な表計算ファイルを想定していたが、オンラインで入力する本格的なシステムを構築することができた。 第2回研究会で扱った言語とマレー語について、共著論文としてまとめることができた。しかし、第3回の研究会でしか扱わなかったベトナム語と日本語については、研究会が12月であったことから、時期的理由から、論文に含めることができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
来年度は、語彙リストにさらにデータを追加する。特に、他言語で代名詞代用・呼びかけ表現になる形式の対応表現について調査し、データベースに加えて言語間の比較ができるようにする。そして、それに基づき考察を行う。 翌年度からコーパスに代名詞代用・呼びかけ表現の情報のアノテーションをすることを予定している。来年度は、それに使えるコーパスやツールについてどのようなものが存在するかを各言語で調査する。また、アノテーションをどのように進めるかについても議論する。
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