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2020 年度 実績報告書

言語喪失の動態の研究:沖永良部語若年層話者における言語消滅メカニズムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 20H01257
研究機関東京外国語大学

研究代表者

中山 俊秀  東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 教授 (70334448)

研究分担者 横山 晶子  東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 特別研究員(RPD) (40815312)
冨岡 裕  神田外語大学, 外国語学部, 講師 (90816505)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2024-03-31
キーワード消滅危機言語 / 奄美方言 / 社会言語学
研究実績の概要

本研究は、消滅の危機に瀕している奄美・沖永良部島の言語コミュニティにおける若年層話者の文法知識と使用実態の調査を行い、消滅危機言語の消滅変化の動態とメカニズムを解明することを目的としている。
本年度の研究では、文法知識・言語能力に特に焦点を当てつつも、言語使用、言語意識の3つの領域での研究基盤づくりも進めた。若年層話者の文法知識・言語能力については、基本語彙や基本文構造の知識を測るための聞き取り調査を行い、言語知識の世代間の差異の明確化を進めることができた。また、自然談話データの収集を行い、文の生成・理解能力に留まらない言語運用能力面での言語能力についても基本的な分析ができた。日常の中での言語使用の実態に関しては、社会言語学的アンケート調査およびインタビュー調査を行い、社会的関係性や場面による言語選択のパターンなどについての予備分析を行なった。言語意識の実態把握については、アンケート調査およびインタビュー調査をとおして、伝統言語とその使用に対する意識や感情的態度、伝統言語と日本語に対する言語意識の違いに関するデータの収集を進めた。
総じて、本年度の研究により、若年層話者の文法知識・言語能力、言語使用の実態、および言語意識に関する調査、分析基盤を構築することができ、消滅危機言語の消滅変化の動態とメカニズムの解明に向けて重要な研究の進展があった。今後は、これらのデータを基に、より高度な調査・分析を進めていくことが期待できる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2020年度以来の新型コロナ感染症の蔓延の影響により、本研究の推進にとって必要不可欠である現地調査が長期にわたって行えない状況が続いたため、本年度の研究は大幅に遅れることとなった。文書によるアンケート調査やオンラインでのインタビューなどによって補ったが、調査方法に制約が大きく思うようなデータ収集が困難で、計画されていた分析をするために十分なデータを集めるのに非常に長い時間を要した。しかしながら、本年度の研究を通して、計画されていた分析を完了することができ、次の研究フェーズにつなげていくための研究データの蓄積、分析の基盤作りは行うことができた。

今後の研究の推進方策

本年度の研究を通して、計画されていた研究データの蓄積、分析の基盤作りができたので、次の研究フェーズに研究を発展させていく。具体的には、若年層の言語構造知識の特性に関して得られた知見を、社会的場面での言語選択、心理的な面での言語意識の観察・分析に結びつけていくことで、若年層の伝統言語使用を形作る要因を多面的に明らかにし、言語衰退のメカニズムの解明へのつなげていく。

  • 研究成果

    (13件)

すべて 2023 2022 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件) 図書 (2件)

  • [国際共同研究] Mahidol University(タイ)

    • 国名
      タイ
    • 外国機関名
      Mahidol University
  • [雑誌論文] 沖永良部島和泊町国頭方言の存在動詞「ある」「ない」2023

    • 著者名/発表者名
      横山晶子
    • 雑誌名

      シマジマのしまくとぅば4 令和4年度 消滅の危機にある方言の記録作成 および啓発事業

      巻: 4 ページ: 40-49

  • [雑誌論文] 沖永良部島民の言語意識資料―アンケート調査を元に―2023

    • 著者名/発表者名
      横山晶子
    • 雑誌名

      方言の研究

      巻: 9 ページ: -

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 北琉球沖永良部国頭方言の焦点助詞と「係り結び」2023

    • 著者名/発表者名
      横山晶子
    • 雑誌名

      日琉諸語における情報構造と文法現象

      巻: - ページ: -

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 変化・変異・進化の事実に向き合う種々の言語理論 ― 必要なのは対立か,対話か,連携か ―2022

    • 著者名/発表者名
      小川芳樹, 中山俊秀
    • 雑誌名

      小川芳樹, 中山俊秀編『コーパスからわかる言語変化・変異と言語理論3 』

      巻: - ページ: 1-28

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 言語の多様性が教えてくれること:言語システムの動的性質と文脈依存的性質2022

    • 著者名/発表者名
      中山俊秀
    • 雑誌名

      日本音響学会第148回研究発表会論文集

      巻: - ページ: -

  • [学会発表] 市民科学者の育成2023

    • 著者名/発表者名
      横山晶子、山田真寛
    • 学会等名
      琉球諸語継承研究会
  • [学会発表] Numeral Systems in Japonic2023

    • 著者名/発表者名
      Kohei Nakazawa, Akiko Yokoyama
    • 学会等名
      Studies in Asian and African Geolinguistics
    • 国際学会
  • [学会発表] 文法体系の拡張:逸脱構文の発達事例から考える2022

    • 著者名/発表者名
      中山俊秀
    • 学会等名
      東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所共同利用・共同研究課題「理論言語学と言語類型論と計量言語学の対話にもとづく言語変化・変異メカニズムの探求」2022年度第2回研究会
  • [学会発表] 言語の多様性が教えてくれること:言語システムの動的性質と文脈依存的性質2022

    • 著者名/発表者名
      中山俊秀
    • 学会等名
      日本音響学会第148回研究発表会
    • 招待講演
  • [学会発表] しまむに(北琉球沖永良部語)の言語復興活動2022

    • 著者名/発表者名
      横山晶子
    • 学会等名
      日本島嶼学会
  • [図書] コーパスからわかる言語変化・変異と言語理論32022

    • 著者名/発表者名
      小川芳樹, 中山俊秀
    • 総ページ数
      445
    • 出版者
      開拓社
    • ISBN
      978-4-7589-2377-4
  • [図書] 0から学べる島むに読本2022

    • 著者名/発表者名
      横山晶子
    • 総ページ数
      160
    • 出版者
      ひつじ書房
    • ISBN
      978-4823411588

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公開日: 2023-12-25  

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