阿波根昌鴻資料については、伊江島での調査活動を本格的に再開し、新たに確認された資料の目録作成を行った。また復帰前に阿波根氏が撮影した写真に関しては、2024年2月から埼玉県の丸木美術館で開催された写真展「阿波根昌鴻 写真と抵抗、そして島の人々」において必要とされる写真ネガのデジタル画像作成にあたって、写真資料の照合と保存措置を行い、資料の活用を図った。また2024年3月に伊江島で開催されたシンポジウム「阿波根昌鴻の遺した写真・資料から見る沖縄戦後史、現在、未来」において、研究代表者の鳥山が資料調査活動の方法と成果について報告し、阿波根昌鴻資料を詳細に調査することによって沖縄戦後史研究の資料的な基盤を充実させることの重要性を指摘した。 「金武湾を守る会」資料については、前年度に作成した複製画像を目録化して資料の全体像を把握するとともに、公開・活用の方法と優先順位について検討を行った。それによって、「金武湾を守る会」の定期発刊物の保存状況を詳細に確認し、その資料一覧と資料解説の作成を行った。また同会の活動に伴って作成された配布物を時系列的に整理し、その内容を確認するとともに資料公開に向けた選別を行った。また研究分担者の上原は2023年12月の東アジア日本研究者協議会で研究報告を行い、「金武湾を守る会」資料を分析することによって巨大開発事業をめぐる「環太平洋地域における同時代性」を明らかにしていくことの意義を説明した。 大山朝常資料については、前年度に作成した複製画像を用いて資料内容の把握し、歓楽街の事業者とコザ市との間で行われていた衛生管理・売春管理をめぐる協議や米軍に対する折衝活動などを分析した。
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