研究課題/領域番号 |
20H01314
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研究機関 | 青山学院大学 |
研究代表者 |
岩田 みゆき 青山学院大学, 文学部, 教授 (40365010)
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研究分担者 |
割田 聖史 青山学院大学, 文学部, 教授 (20438568)
岩下 哲典 東洋大学, 文学部, 教授 (30296230)
嶋村 元宏 神奈川県立歴史博物館, 学芸部, 主任学芸員 (40261193)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | オランダ別段風説書 / 日本近世史 / 海外情報 / 風説書 / アヘン戦争 / オランダ通詞 |
研究実績の概要 |
本研究は、アヘン戦争を契機として、オランダ船が従来の「風説書」とは別に日本にもたらされた詳細な海外情報である「別段風説書」について、その内容と国内での動向について研究するものである。具体的には、①風説書研究会編『オランダ別段風説書集成』(吉川弘文館2019年)史料篇の活用と内容の研究、収集した写本の史料学的研究、写本の所在調査の継続、②国内における「別段風説書」の成立から終焉の過程、幕府・諸藩・在地社会における情報伝達・漏洩・深化、及び情報の収集・分析・活用の実態や影響についての研究、③ヨーロッパ世界からみた「別段風説書」の検討及びその世界史的意義の研究、の三部門で構成し、研究を進めている。 2021年度は、①については2020年度に引き続き「別段風説書」の内容を精査するとともに索引の作業を継続した。索引は6年分のデータを入力した。また、全国に多く残されている写本調査も継続して行った。新型コロナウィルスの影響がいまだに大きく、予定していた史料調査を十分に行うことができなかったが、昨年度からの繰越になっていた長野県・茨城県・宮城県を始めとして、長崎県・佐賀県の他、近隣の史料保存機関での史料調査を実施することができた。②③についても、それぞれの役割分担に応じて、研究を継続して推進し、その研究成果をオンラインによる研究会で報告しあった。今年度は、研究会を5回開催し、その内1回は特別研究会として外部研究者との交流・情報交換を行った。研究代表者岩田は長崎貿易商人の日記の分析から在地社会における海外情報伝達について報告した。分担者岩下はナポレオン文献ロシア軍士官ムールの獄中上申書について、嶋村は大槻磐渓による情報収集活動について、割田は「別段風説書」にみるクリミア戦争について報告した。研究協力者3名も報告を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
いまだに新型コロナウィルスの影響下にあり、出張やアルバイトの使用などに制限があった。緊急事態宣言下で閲覧中止になる資料保存機関も多く、運良く史料調査に出向けたとしても、利用時間や利用点数に制限がかけられ、予定どおりの成果が得られない場合があった。大学の授業もオンラインとなり、アルバイトの学生を集めることができなかった。ただし、研究会活動は、オンラインを使用し、特別研究会を開催するなど、予定どおり進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
まだ、新型コロナウィルスの影響下にあるが、状況を見ながら史料調査・研究会活動を継続して実施していく。①については、継続して内容分析・索引作成を進めていく。昨年はかなり遅れたが、今年は少し挽回できた。史料調査も状況をみながら継続して実施していく。②③については、代表者岩田は在地社会における「別段風説書」の研究、分担者割田は「別段風説書」におけるヨーロッパ情報の研究、岩下は箕作家に関連する海外情報の研究、嶋村は「別段風説書」の活用事例の研究など、研究協力者とともに、各自のテーマに従って研究を進め、研究会で発表し、情報を共有していく。
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