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2021 年度 実績報告書

高句麗・渤海を東部ユーラシア史に位置づけるための基礎的研究

研究課題

研究課題/領域番号 20H01323
研究機関金沢大学

研究代表者

古畑 徹  金沢大学, 歴史言語文化学系, 教授 (80199439)

研究分担者 小嶋 芳孝  金沢大学, 人間社会研究域, 客員研究員 (10410367)
毛利 英介  関西大学, 東西学術研究所, 研究員 (10633662)
吉永 匡史  金沢大学, 歴史言語文化学系, 准教授 (20705298)
古市 大輔  金沢大学, 歴史言語文化学系, 教授 (40293328)
小林 信介  金沢大学, 経済学経営学系, 教授 (50422655)
村井 恭子  神戸大学, 人文学研究科, 准教授 (50569291)
植田 喜兵成智  学習院大学, 付置研究所, 研究員 (50804407)
渡辺 健哉  大阪市立大学, 大学院文学研究科, 教授 (60419984)
赤羽目 匡由  東京都立大学, 人文科学研究科, 准教授 (60598853)
中村 亜希子  独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, 都城発掘調査部<平城地区>, センター長 (60600799)
覚張 隆史  金沢大学, 古代文明・文化資源学研究所, 助教 (70749530)
中村 和之  函館工業高等専門学校, 一般系, 特命教授 (80342434)
井上 直樹  京都府立大学, 文学部, 准教授 (80381929)
足立 拓朗  金沢大学, 古代文明・文化資源学研究所, 教授 (90276006)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード高句麗 / 渤海 / 東部ユーラシア史 / 東北アジア / 歴史の争奪
研究実績の概要

本研究課題では、①高句麗・渤海と「東部ユーラシア」諸地域、とりわけ看過されてきたモンゴリアとの関係を具体的・実証的に明らかにすること、②7世紀以降、現代に至るまでの「東部ユーラシア」の諸地域において、高句麗や渤海がどのように認識されてきたかを、可能な限り具体的に示すことを、3年間の目標として設定している。今年度は、昨年度に引き続いてのコロナ禍のため、当初予定していたこの目標に向けての基礎的な史料・資料の収集や、関係各国における研究状況についての情報収集作業はできないと判断し、昨年度より取り組んでいた、今までに集めた情報を集約して、研究発表や論稿化する作業を中心とすることに計画を変更し、オンラインで打ち合わせ会と発表のための研究会を実施した。また、中止となった「高句麗・渤海史に関する日中研究者会議」のために集めた論稿を出版する作業も同時並行で行ない、年度末に古畑徹編『高句麗・渤海史の射程』(汲古書院、2022年2月)として出版することができた。
本年度の研究実績として特にみるべきは、前掲の『高句麗・渤海史の射程』の出版で、日中研究者会議のために集めた論稿だけでは十分な分量にならなかったこともあり、研究課題①・②の両方の成果を組み込んで1冊とした。特に①に関しては古畑執筆の付論と渤海とその北方地域との関係を考古学から明らかにする中澤論稿が重要な成果であり、②に関しては研究史や近現代における認識を明らかにする中村亜希子・植田・井上・渡辺・古畑の諸論稿が重要な成果である。オンラインの研究会でも、研究課題①②に関連する報告がなされ、それらは次年度以降に論稿化される予定である。このほか、各研究者ごとに設定した課題に取り組み、順次成果が公表されつつある。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

今年度も、当初予定では、昨年度に引き続き基礎的な史料・資料の収集や、関係各国における研究状況についての情報収集を行う予定であったが、昨年度同様にコロナ禍によってそれらは実現できず、今年度も今までに集めた情報を集約して、研究発表や論稿化して発信することに変更し、特に昨年度までの研究成果を公刊することに注力した。この変更した計画で進捗状況を判断し、概ね順調に推移していると評価した。理由は次のとおりである。
①年度末に論文集『高句麗・渤海史の射程』(古畑徹編、汲古書院、2022年2月)を出版し、本プロジェクトおよびその前身のプロジェクトによる研究成果を公刊できた。
②年度末にオンライン研究会を開き、研究分担者・研究協力者の個別成果の一端が発表されたほか、各研究分担者・研究協力者によって本プロジェクトによる研究成果の公表が相次いだ。

今後の研究の推進方策

昨年同様に研究の順序を入れ替えたので、今後はコロナ禍の状況改善及び終息を待って、基礎的な史料・資料の収集、及び関係各国における研究状況についての情報収集を再開させることが重要である。ただ、状況の改善があっても、計画当初に想定されていたような関係国間の自由な往来は制限されると考えられるので、輸入可能な書籍の購入やオンライン上で集められる情報の収集に力を注ぎ、十分に行うことができない国際的な研究交流を補うことに注力する。
また、来年度は本プロジェクトの最終年度となるため、年度末に金沢にて国際シンポジウムを行うことが当初計画では予定されていた。コロナ禍の状況次第ではあるが、できれば計画通りに、それが難しくとも最低限、プロジェクトメンバーだけでも金沢に集まり、オンラインを併用するハイブリッド型で、高句麗・渤海史に関する国際シンポジウムを開催する。さらにそれをステップに、次のさらに大きな目標(新たな高句麗・渤海史像の提示)に向けたプロジェクトを立ち上げる準備をしていく。

  • 研究成果

    (43件)

すべて 2022 2021

すべて 雑誌論文 (17件) (うち査読あり 10件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (18件) (うち国際学会 4件、 招待講演 4件) 図書 (8件)

  • [雑誌論文] 暁烏文庫『大東輿地図索引』に挟み込まれていた 暁烏敏宛の葉書について2022

    • 著者名/発表者名
      古畑徹、ほか
    • 雑誌名

      金沢大学資料館紀要

      巻: 17 ページ: 25-36

    • DOI

      10.24517/00065775

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] [書評と紹介] 清水信行・鈴木靖民編『渤海の古城と国際交流』2022

    • 著者名/発表者名
      古畑徹
    • 雑誌名

      日本歴史

      巻: 885 ページ: 87-90

  • [雑誌論文] 清代後期の遼陽劉氏とその家系―19世紀前半におけるその婚姻・科挙受験からみた―2022

    • 著者名/発表者名
      古市大輔
    • 雑誌名

      金沢大学歴史言語文化学系論集 史学・考古学篇

      巻: 14 ページ: 1~18

    • DOI

      10.24517/00066979

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 日唐の将軍号に関する小考2022

    • 著者名/発表者名
      吉永匡史
    • 雑誌名

      金沢大学歴史言語文化学系論集 史学・考古学篇

      巻: 14 ページ: 1~10

    • DOI

      10.24517/00066981

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 李志恒『漂舟録』にみえる植物名について2022

    • 著者名/発表者名
      中村和之
    • 雑誌名

      人文論究

      巻: 91 ページ: 11-17

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 「瓦様」と瓦笵―東大寺式軒丸瓦における同紋瓦・同笵瓦の再検討-2022

    • 著者名/発表者名
      中村亜希子、ほか
    • 雑誌名

      奈文研論叢

      巻: 3 ページ: 1-37

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 変形忍冬唐草文軒平瓦6647Cの再検討2022

    • 著者名/発表者名
      中村亜希子、ほか
    • 雑誌名

      奈文研論叢

      巻: 3 ページ: 133-152

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 行基と菩提僊那の和歌贈答―「国風文化」の形成過程―2021

    • 著者名/発表者名
      浜田久美子
    • 雑誌名

      史観

      巻: 185 ページ: 1-22

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 『紹興甲寅通和録』から見た劉斉をめぐる国際関係2021

    • 著者名/発表者名
      毛利 英介
    • 雑誌名

      関西大学東西学術研究所紀要

      巻: 54 ページ: 253-279

    • DOI

      10.32286/00023736

    • 査読あり
  • [雑誌論文] アイヌの北方交易と蝦夷錦という中国製の絹織物2021

    • 著者名/発表者名
      中村和之
    • 雑誌名

      東國史学

      巻: 70 ページ: 115-146

    • DOI

      10.22912/dgsh.2021..70.115

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 13、14 世紀のアムール河下流域の寒冷化についての事例提供2021

    • 著者名/発表者名
      中村 和之
    • 雑誌名

      函館大学論究

      巻: 53-1 ページ: 59-69

    • DOI

      10.18896/00000365

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 新羅東北境における炭項関門の築造年代と「泉井郡」の称2021

    • 著者名/発表者名
      赤羽目匡由
    • 雑誌名

      朝鮮学報

      巻: 258 ページ: 197-214

    • 査読あり
  • [雑誌論文] [書評と紹介] 鈴木靖民著『古代の日本と東アジア』2021

    • 著者名/発表者名
      赤羽目匡由
    • 雑誌名

      日本歴史

      巻: 882 ページ: 85-87

  • [雑誌論文] 則天武后末期の東方情勢に関する一問題―渤海における則天武后の影響と残像―2021

    • 著者名/発表者名
      赤羽目匡由
    • 雑誌名

      唐代史研究

      巻: 24 ページ: 57-79

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 2020年の歴史学界―回顧と展望 東アジア(朝鮮古代)―2021

    • 著者名/発表者名
      赤羽目匡由
    • 雑誌名

      史学雑誌

      巻: 130-5 ページ: 248-251

  • [雑誌論文] 北朝鮮における楽浪郡研究―郡治所在地をめぐる議論を中心に―2021

    • 著者名/発表者名
      井上直樹
    • 雑誌名

      古代文化

      巻: 73-1 ページ: 91-106

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 稲葉君山の檀君神話認識―否定的評価と肯定的解釈の背後―2021

    • 著者名/発表者名
      井上直樹
    • 雑誌名

      韓日関係史研究

      巻: 74 ページ: 43-74

    • 査読あり
  • [学会発表] 渤海上京城の造営と瓦せん2022

    • 著者名/発表者名
      中村亜希子
    • 学会等名
      第6回金毓黻と東北アジア史研究会
  • [学会発表] 渤海の「高麗」国号と冊封体制2022

    • 著者名/発表者名
      浜田久美子
    • 学会等名
      第6回金毓黻と東北アジア史研究会
  • [学会発表] 『靖康稗史』の「出現」について―『謝家福書信集』所収史料の紹介2022

    • 著者名/発表者名
      毛利英介
    • 学会等名
      第6回金毓黻と東北アジア史研究会
  • [学会発表] 高句麗始祖廟祭祀考―高句麗始祖廟祭祀記事の批判的検討と高句麗王系―2022

    • 著者名/発表者名
      井上直樹
    • 学会等名
      第6回金毓黻と東北アジア史研究会
  • [学会発表] 渤海の都城-建国から上京までの変遷2022

    • 著者名/発表者名
      小嶋芳孝
    • 学会等名
      中央大学人文科学研究所公開研究会「東アジア都城史研究の今」
    • 招待講演
  • [学会発表] 「開仙寺石燈記」の外的性格に関する二、三の問題2022

    • 著者名/発表者名
      赤羽目匡由
    • 学会等名
      国立歴史民俗博物館・慶北大学校人文学術院HK+事業団 主催、日韓合同研究会「古代日本と韓国の文字文化と書写材料」
    • 国際学会
  • [学会発表] 斉藤優が調査した図們江(豆満江)下流域の渤海遺跡2021

    • 著者名/発表者名
      小嶋芳孝
    • 学会等名
      金沢大学古代文明・文化資源学研究センター主催「第一回 渤海考古学シンポジウム」
  • [学会発表] 瓦当による渤海王都変遷の検討2021

    • 著者名/発表者名
      小嶋芳孝
    • 学会等名
      唐代史研究会2021年度夏期シンポジウム
    • 招待講演
  • [学会発表] 古代日本海域における人の移動-渤海・日本航路を中心に-2021

    • 著者名/発表者名
      小嶋芳孝
    • 学会等名
      日本考古学協会2021年度金沢大会
    • 招待講演
  • [学会発表] 青銅製棒状槍先の型式編年について2021

    • 著者名/発表者名
      足立拓朗
    • 学会等名
      日本西アジア考古学会第26回大会
  • [学会発表] クラスキノ城跡からみた渤海の土器生産2021

    • 著者名/発表者名
      中澤寛将
    • 学会等名
      金沢大学古代文明・文化資源学研究センター主催「第一回 渤海考古学シンポジウム」
  • [学会発表] Interaction and Trade in the Ancient Northern Japan and the Okhotsk Sea Region2021

    • 著者名/発表者名
      中澤寛将
    • 学会等名
      ソウル大学国史学科BK21事業団・韓国ユーラシア文明研究会主催 "Interaction and Conflict in the East Sea Region: From Prehistoric Times to the Middle Ages"
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 東京帝国大学退官後の常盤大定の活動をめぐって2021

    • 著者名/発表者名
      渡辺健哉
    • 学会等名
      国際シンポジウム 近代日本の中国学の光と影 Ⅱ
    • 国際学会
  • [学会発表] 西古城と八連城における出土瓦の同笵関係2021

    • 著者名/発表者名
      中村亜希子
    • 学会等名
      金沢大学古代文明・文化資源学研究センター主催「第一回 渤海考古学シンポジウム」
  • [学会発表] 三次元計測データで比較する同紋瓦と同笵瓦-東大寺式軒丸瓦の検討-2021

    • 著者名/発表者名
      中村亜希子ほか
    • 学会等名
      日本文化財科学会第38回大会
  • [学会発表] 渤海都城における宮殿の瓦と寺の瓦2021

    • 著者名/発表者名
      中村亜希子
    • 学会等名
      東アジア比較都城史研究会 令和3年度第3回共同研究会
  • [学会発表] 吐谷渾史研究の現状:新たな考古遺物の発見を中心に2021

    • 著者名/発表者名
      村井恭子
    • 学会等名
      第57回野尻湖クリルタイ
  • [学会発表] 新羅中代の宗廟と寺院―恵恭王王代の宗廟改編と奉恩寺―2021

    • 著者名/発表者名
      井上直樹
    • 学会等名
      韓国慶北大学校人文大学主催「人文国際学術大会」
    • 国際学会
  • [図書] 高句麗・渤海史の射程2022

    • 著者名/発表者名
      古畑徹(編著), 井上直樹, 植田喜兵成智, 中澤寛将, 中村亜希子, 村井恭子, 渡辺健哉
    • 総ページ数
      252
    • 出版者
      汲古書院
    • ISBN
      9784762967078
  • [図書] アイヌのビーズー美と祈りの二万年ー2022

    • 著者名/発表者名
      池谷和信編、中村和之、ほか
    • 総ページ数
      288
    • 出版者
      平凡社
    • ISBN
      9784582838961
  • [図書] 宋基豪教授停年記念論叢:韓国古代史を展望する多様な視線:文献, 文字, 物質2021

    • 著者名/発表者名
      宋基豪教授停年記念論叢刊行委員会編、小宮秀陵、井上直樹、ほか
    • 総ページ数
      780
    • 出版者
      ZININZIN
    • ISBN
      9788963474649
  • [図書] 古代日本対外交流史事典2021

    • 著者名/発表者名
      浜田久美子ほか編
    • 総ページ数
      488
    • 出版者
      八木書店出版部
    • ISBN
      9784840622493
  • [図書] 元朝の歴史2021

    • 著者名/発表者名
      渡辺健哉ほか編、中村和之、ほか
    • 総ページ数
      322
    • 出版者
      勉誠出版
    • ISBN
      9784585325024
  • [図書] 中国考古学論叢:古代東アジア社会への多角的アプローチ2021

    • 著者名/発表者名
      大貫静夫編、中村亜希子、ほか
    • 総ページ数
      326
    • 出版者
      同成社
    • ISBN
      9784886218650
  • [図書] 論点・東洋史学2021

    • 著者名/発表者名
      吉澤誠一郎監修、赤羽目匡由、ほか
    • 総ページ数
      378
    • 出版者
      ミネルヴァ書房
    • ISBN
      9784623092178
  • [図書] 高句麗の史的展開過程と東アジア2021

    • 著者名/発表者名
      井上 直樹
    • 総ページ数
      512
    • 出版者
      塙書房
    • ISBN
      9784827313260

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公開日: 2023-12-25  

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