研究課題/領域番号 |
20H01324
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
松井 太 大阪大学, 大学院人文学研究科(人文学専攻、芸術学専攻、日本学専攻), 教授 (10333709)
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研究分担者 |
中村 淳 駒澤大学, 文学部, 教授 (70306918)
舩田 善之 広島大学, 人間社会科学研究科(文), 准教授 (50404041)
四日市 康博 立教大学, 文学部, 准教授 (40404082)
高木 小苗 島根県立大学, 北東アジア地域研究センター, 客員研究員 (70633361)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | モンゴル帝国 / 古文書資料 / 中央アジア / 中国 / イラン |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,西暦13~14 世紀にユーラシア広域を支配下におさめたモンゴル帝国の支配層が発出したモンゴル語をはじめとする多言語の古文書資料群を利用して,モンゴル時代ユーラシア史の諸相を再構成することにある。本年度は、研究代表者・分担者が各自の分担内容に応じて、下記のような研究活動を行なった。 松井太は,トゥルファン出土のウイグル語行政命令文書の校訂作業と並行して、イスタンブル大学所蔵のペルシア語写本に含まれるパクパ字モンゴル語・ウイグル文字テュルク語合璧テキストを検討し、これが大元ウルス(元朝)刊行のモンゴル語文献が中央アジアに伝播してティムール朝王族のパクパ文字モンゴル語の学習のために利用されたことを示し、ティムール官房言語におけるモンゴル帝国・時代からの連続性を剔出した。この成果は国際学会で報告するとともに、英文・和文論文で刊行した。中村淳は、東チベットに発令されたパクパ文字モンゴル語命令文を検討し、当該地域に対するモンゴル支配の実態を考察した。舩田善之は,モンゴル帝国時代のパクパ文字漢語・モンゴル語史料ならびにカラホト出土漢語文書の検討をおこない,前者についてはパクパ字に関するコラムを公刊し,後者についてはその検討結果も踏まえて,モンゴル帝国時代のモンゴル高原と河西・華北・江南との南北構造を考察した。四日市康博は、イルハン朝に残るトルコ語・ペルシア語・アラビア語合璧文書における黒印・花押印の考察をおこない、さらには元朝のハラホトで出土した漢語文書における黒印との比較検討をおこなった。高木小苗は,研究協力者の渡部良子とともにモンゴル帝国時代の西アジアのペルシア語史書の訳註作業を行ない、そこで言及されるモンゴル王族・重臣の出自・事績・婚姻関係・財産継承などを検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
世界各国における新型コロナウイルス流行が収束せず、海外での各種の資料調査の環境がなお十分に整えられていない。また研究代表者の主担するウイグル語行政命令文書の校訂資料集について、海外の研究者からのフィードバックを得る時間を確保するため、一部予算を繰り越した。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、古文書資料の解読校訂を中心に「史料化」作業に重点を置きつつ、原テキストに密着した歴史再構成のための検討を行なう。
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