研究課題
近年、太陽活動や太陽圏環境の変動の他、天体現象にともなうと考えられる突発的な宇宙線増加現象が、14C濃度の異常上昇(14Cスパイク)として過去に度々発生していたことが明らかになりつつある。我々はこの14Cスパイクを用いた精度の高い新しい年代測定法の開発を山形大学に設置したComapct-AMS (NEC 社製 1.5SDH-1)を用いて進めている。本年度は、Comapct-AMS の焦点面に設置した位置有感型のシリコン半導体検出器の基礎特性試験を行った。開発したシリコン半導体検出器は2 mm×2 mmの電極をXY方向に8×8の計64チャンネル配列したピクセル型の検出器である。まず、半導体検出器へのバイアス電圧を変化させて5.486 MeVのα線に対するエネルギー分解能を調べた。バイアス電圧が41 Vおよび200 Vのとき、5.486 MeVのα線に対するエネルギー分解能 (半値幅) はそれぞれ32 keVおよび22 keVであった。続いて開発したピクセル型半導体検出器をYU-AMS装置の焦点面に設置して14Cビームに対する特性試験を行った。その結果、焦点面における14CビームのX軸とY軸方向の拡がりはそれぞれ6.4 mmと1.6 mmであることがわかった。この結果から、AMS測定の系統誤差を評価する上で十分な性能を有することが示された。また、検出器からの信号を早い立ち上がり時間(40 nsec)で出力できるプリアンプの開発を行った。その結果、ピクセル型シリコン半導体検出器からの64チャンネルの信号を高速でデジタル化し、そのパルス波高値を取得できるようになったため、他の実験施設において容易に測定ができるようになり、本システムの汎用性を高めることができた。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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Nuclear Instruments and Methods in Physics Research Section B: Beam Interactions with Materials and Atoms
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