研究課題
本研究の目的は、文化財科学、考古学、古気候学、木材科学、森林科学の領域で個別に発展してきた樹木年輪に関する科学技術を集結し、東アジア地域において網羅的に木材サンプルを獲得して年輪酸素同位体比のデータベースを構築することで、東アジアにおける木材の年代測定と産地判別の技術基盤を形成することである。今年度は、COVID-19による出張の制約から、予定していたモンゴルやロシア沿海州での調査が実施できなかった。したがって、既に収集済みの木材サンプルを材料として、その年輪セルロースの酸素同位体比を測定することで、年代決定および産地判別の基盤となる時系列データを取得した。具体的には、日本、ロシア沿海州、韓国で取得した木材サンプルを分析に使用し、過去数百年間にわたる年輪酸素同位体比の時系列データを取得した。これら新規データの取得に加え、新しい質量分析計よる酸素・水素同位体比の同時測定システムを森林総合研究所で立ち上げた。微量の試料でも水素同位体比が精度よく測定できるように装置を改良できたことに加え、技術補助職員のトレーニングを行い、多数の試料を分析できる体制を整えたことも主要な成果である。その他、韓国の各地で得た年輪酸素同位体比の経年変動パターンが互いに良く同調することを明らかにし、その成果を原著論文として発表した。
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
すべて 2021 2020 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 4件、 査読あり 4件) 学会発表 (2件)
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