研究課題/領域番号 |
20H01391
|
研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
森永 由紀 明治大学, 商学部, 専任教授 (20200438)
|
研究分担者 |
尾崎 孝宏 鹿児島大学, 法文教育学域法文学系, 教授 (00315392)
中山 二郎 九州大学, 農学研究院, 教授 (40217930)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | モンゴル遊牧民 / 腸内フローラ / 伝統的発酵食品 / 発酵馬乳(クミス) / 現代食侵襲 / 家畜福祉 |
研究実績の概要 |
2021年度は、COVID-19パンデミック中のためモンゴル国での現地調査が実施できなかった。そのため、国内において過去に現地で取得したアイラグ(発酵馬乳)の製造に関するデータやアイラグサンプルの分析、アイラグに関する文献調査や、過去の研究のレビュー等を各自ですすめた。 森永は、アイラグの名産地であるモンゴル国ボルガン県モゴド郡で、アイラグ製造用のウマの母と子計3組に2013年の6月末から9月末の3か月間間装着したGPSのデータを解析した。アイラグ製造期間中のウマの母子の移動経路を明らかにし移動の自由度が大きいことを示した。さらに、母子分離がゆっくりと行われて家畜福祉にきわめて配慮したウマの飼養や搾乳がなされていることを明らかにした。あわせてアイラグに関する過去の研究のまとめを行った。 中山は、過去にモンゴル国ボルガン県モゴド郡で取得したサンプルを用いてアイラグのDNA抽出方法の確立を行った。細菌叢解析においてDNA抽出法は解析結果が大きく異なり得るため、ビーズ破砕法とフェノール・クロロホルム抽出を併用した方法と、塩化ベンジルを用いた抽出法で検討を行った。次世代シーケンサーMiSeqによる16S rRNAアンプリコン解析で比較した結果、塩化ベンジルを用いる方が、準優占種の抽出を的確に行えることが示された。 尾崎は、モンゴル国における社会主義集団化時期(1950年代末から1990年代初頭)を中心とした、過去のアイラグ製造に関する文献資料の整理を行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
COVID-19の影響で現地調査は実施できなかったものの、森永は伝統食の製造に用いられるウマの行動形態を定量的に明らかにしたほか、これまでの研究のレビューを実施し、中山はアイラグのDNA抽出方法を確立し、尾崎は今まで活用していなかった文献資料を数点発見したため。
|
今後の研究の推進方策 |
COVID-19パンデミックの収束を待って、速やかにモンゴル国における現地調査を実施する予定である。モンゴル国内で生産されているアイラグの菌叢のバリエーションを調査するとともに、アイラグを発酵する容器や温度の違いが細菌叢にどのような影響を与えるか調査する。
|