研究課題
本研究は留学生が日本への渡航を発意して日本で学び、その後の就労を通じて日本に定着していく過程について、各段階における意思決定とその背景を内在的に理解することを目指す。本研究は、2つのユニットからなる。第一は、多数の留学生を抱える大分県別府市を共通の研究対象地域として、留学生の地域への適応と地域社会の側の留学生の受け止めの相互作用を明らかにするとともに、別府市を起点とする留学生のライフコースの展開を把握するものである。第二は、留学生の主要な送出国を主なフィールドとしてきた研究分担者が、各国社会における日本への留学の意味や留学生の送り出し機構を踏まえたうえで、留学生のライフコースを国籍別に把握し比較分析するものである。第一については、これまでの調査を継続するとともに、新たにスリランカ人留学生に対する調査を進めた。その結果、スリランカ人留学生が密なネットワークを形成し、卒業後も別府市内に定着していることが明らかになった。元留学生の起業の調査も継続し、併せて政府および大分県の外国人の起業支援の枠組みについても調査した。APUの立地と学生の増加に伴う都市空間の変容については、学生向け住宅のデータベースを構築し、留学生向け物件とそうでない物件との違いを、立地やスペック、賃料などの観点から分析した。第二については、対象としてきた各国において、現地日本語学校などを要とする留学生の送り出し機構と、帰国した元留学生に対する調査と分析を行った。その結果、留学の意味と留学先としての日本の位置づけが国によって異なり、また時代によっても変遷してきたことが明らかになりつつある。研究成果の一部は、2024年3月に開催された日本地理学会春季学術大会において、中澤、鍬塚、申が報告し、各自論文の執筆を進めつつある。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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Geographical reports of Tokyo Metropolitan University
巻: 59 ページ: 49~56
学苑
巻: 975 ページ: 16~31
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社会学評論
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10.4200/jjhg.75.03_249