研究課題/領域番号 |
20H01406
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研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
石田 慎一郎 東京都立大学, 人文科学研究科, 教授 (10506306)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 法人類学 / 慣習法 / リステイトメント / 文化遺産 / ケニア |
研究実績の概要 |
当初は、研究代表者が、研究協力者とともにアフリカ慣習法のリステイトメント文書メル篇をとりまとめ、ケニア法の視点からの妥当性について有識者に助言を求めつつ、法文書としてのブラッシュアップをはかること。そして、研究協力者とともにグシイ篇の作成に着手することを計画していた。しかしながら、新型コロナの感染拡大を理由とする外務省からの渡航中止勧告により、2021年度までの計画実行に支障が生じたため、それに応じて2022年度の計画についても変更して(直接経費を繰り越して)実施した。研究代表者は、ケニア・イゲンベ地方の農村における20年来のフィールドワークで得た民族誌データを2022年度中に取りまとめ、その成果を英文民族誌単著として2023年度中に刊行することができた(京都大学学術出版会ならびにTrans Pacific Pressの共同出版)。その成果公開のために直接経費の一部を活用した。同書の概要は次のとおりである。イゲンベの人びとは待つことを知る。待つこととは座して何もせずにいることではない。人びとは、長期にわたる個人の成長と社会環境の変化を経て、当初は合意による解決が困難だった村落内部の対立を、時間をかけて乗り越えていく。地域固有の時間世界と社会構造、国家統治の制度、グローバルな換金作物経済のはざまに生きる現代アフリカ農耕民の実像を描き出す。この英文民族誌は、イゲンベの人間世界と固有法・慣習法をめぐる草の根の累積的な営みを、参与観察と会話のトランスクリプトを駆使した事例研究の手法で描きだしたものであり、本研究でいうところのリステイトメントの新手法にとって不可欠な基礎的知見を国際的に発信するものである。また、研究協力者(東京都立大学大学院生の小宮ならびに森)の国際学会での研究発表を支援するために、2022年度直接経費の一部(2023年度に繰越)を活用した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2021年までの新型コロナの感染拡大を理由とする外務省からの渡航中止勧告の影響が本研究計画全体の進行に影響し、当初の計画を変更したため。
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今後の研究の推進方策 |
2022年8月から9月にかけてケニア国内でのフィールドワークを再開し、2023年にも継続して実施することで、当初研究課題の実現と成果取りまとめをおこなう。研究代表者の英文単著ならびに査読制国際ジャーナル投稿論文について2023年度中の刊行を目指す。東京都立大学大学院生5名(アフリカと調査対象地域とする)を新たに研究協力者に加え、若手研究者の研究活動を支援しながら本研究課題を推進する。(2024年3月末までに上記すべてを実現した。)
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