研究課題/領域番号 |
20H01415
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研究機関 | 桜美林大学 |
研究代表者 |
堀井 聡江 桜美林大学, リベラルアーツ学群, 教授 (20376833)
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研究分担者 |
村上 薫 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, 新領域研究センター ジェンダー・社会開発研究グループ, 研究グループ長代理 (00466062)
岩崎 えり奈 上智大学, 外国語学部, 教授 (20436744)
小野 仁美 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 研究員 (20812324)
細谷 幸子 国際医療福祉大学, 成田看護学部, 教授 (60516152)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | マスラハ(福利) / シャリーア(イスラーム法) / 弱者の権利 |
研究実績の概要 |
エジプトについては第1に私企業の成長を調査した。アラブ社会主義時代(1950-60年代)においては国有大企業の育成が優先され,特に中小の私企業の発展が遅れていたが,近年では中小企業の集積によるプライベートセクターの発達が試みられている。衣料メーカーを対象とした調査によれば,下請け契約や垂直統合は十分に発達していないものの,集積のメリットが明らかとなった。第2はエジプト西部砂漠のダハラ・オアシスを例として,気象・衛星データに基づき農村の持続的発展の可能性を分析した。その結果,農地の拡大の継続および今後の開発プロジェクトの進展に伴う水資源の枯渇が懸念されることが明らかとなった。 イランについては,2019年の上智大学との共同調査結果に基づき,スピリチャルケアの現状分析を行った。調査地イスファハンは,2008年に同医科大学が保健省により緩和ケアの実施拠点とされて以来,スピリチャルケアについても先進的な取り組みをしてきた。もっとも中東諸国全般において両者は萌芽的状態にあり,特にスピリチャルケアの相談件数はイランでも1/3程度にとどまる。また,テヘラン大学作成のマニュアルによれば,スピリチャルケアは「その人の行動と信念の基軸となっている分野(神の信仰と教義体系)において,患者のスピリチュアルなニーズと要請があるすべてに対するケア」として宗教的な意義が強調され,宗教者が従事しているが,そのことが医療従事者に敬遠され,必要性が十分に理解されないという問題も生じている。 このほか,研究代表者の堀井と分担者2名(小野,細谷)を含む共著でワーキングペーパーを刊行し,堀井はイスラーム法学における「神の権利」と「人間の権利」の分類,小野はチュニジアにおける子どもの権利,細谷はイランにおける患者の権利について本研究プロジェクトの出発点となる知見を提示した。また,3回の研究会を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ禍により海外調査や外国人研究者の招聘が不可能な時期があっため,当初の計画に若干の変更が生じたが,修正後の計画に沿って所期の成果を挙げつつある。
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今後の研究の推進方策 |
エジプト,チュニジア,トルコ,イラン(または在英イラン人の活動)とイスラーム法学に関する各担当者による個別の調査・研究を進めつつ,国際シンポジウム(9月)と出版物によりその成果の総括を目指す。
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