研究課題/領域番号 |
20H01416
|
研究機関 | 上智大学 |
研究代表者 |
松本 尚子 上智大学, 法学部, 教授 (20301864)
|
研究分担者 |
中谷 惣 大阪大学, 文学研究科, 准教授 (10623390)
小林 繁子 新潟大学, 人文社会科学系, 准教授 (20706288)
寺田 浩明 公益財団法人東洋文庫, 研究部, 研究員 (60114568)
林 真貴子 近畿大学, 法学部, 教授 (70294006)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 伝統社会 / 司法利用 / 比較法史 / 東洋 / 西洋 / 請願 / 公証 / 裁判外紛争解決 |
研究実績の概要 |
共同研究の初年度2020年度は、各共同研究メンバーが各自行ってきた史料研究を下記2回の研究会で示し合い、研究対象の時代・地域における司法利用状況について、①司法利用者の実像、②司法利用の態様、③公権力との相互作用という3つの観点からの比較を試みた。また、研究会での話し合いを踏まえて各自が史料収集に入り、関連文献の整理分析を進めた。 2020年5月末に行った第1回研究会では、14世紀イタリア自治都市、17世紀ドイツの魔女裁判、19世紀末~20世紀初頭の植民地台湾の司法利用について、どのような史料を用い、その史料から何が分かり何が分からないのかを共有した。また、これら実証研究に対し、日本法制史の立場から、比較において司法の定義が定まっていないことへの問題提起がなされた。 2021年1月下旬の第2回研究会では、マックス・プランク法史法理論研究所のカール・ヘルター氏を迎え、近世ドイツ・ヘッセンにおける各種下級裁判権の実務についての報告を受けた。また、中国法制史の視点を中心に、東洋と西洋の司法利用の比較可能性という問題についての意見交換を行った。 コロナに始まった2020年度は、手探りのなか、上記の研究会を完全オンライン(Zoom)で実施した。意見交換に関する制限は大きかったが、研究計画書に記した「東西の伝統社会における多角的な司法利用の在り方を可視化する」ことについては、十分に成果を得ることができた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
[1] 対面での研究交流ができなかったため。パンデミックにより、国境・県境を越える移動のみならず、対面での集会も厳しく制限される事態となり、本年度に予定していた2つの研究会はオンライン(Zoom)で行った。 [2] 史料調査の延期。初年度に予定されていた史料調査旅行は、コロナ厳戒体制下で国境や公文書館が閉鎖され、全て延期せざるをえなかった。 [3] 史料データ整理などに予定していた作業も、コロナ状況を踏まえた大学構内閉鎖のために学生バイトが構内に入ることができず、滞った。
|
今後の研究の推進方策 |
パンデミックが終息するまでは、今後の共同研究はその多くをオンラインに切り替えて行う。研究会やシンポジウムはZoomで行い、必要に応じて通訳を依頼する。 史料収集については、現地の公文書館員などの人脈を頼り、現地の人に代替出張で公文書館での史料収集を依頼する方法に切り替える。 当初の研究計画では、共同研究の2年目は法制史学会総会でのシンポジウム開催を予定していたが、パンデミックとオリンピック延期の影響で、学会も1年延期となった。そのため、法制史学会でのシンポジウム開催は2022年に延期することにし、その代わりに共同研究3年目に開催する計画であった西洋史学会での発表の機会を2021年度に早めて行うこととした。
|