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2021 年度 実績報告書

国際法の形成における太平洋島嶼国の限界と可能性-日本の支援政策転換を目指して

研究課題

研究課題/領域番号 20H01426
研究機関中部大学

研究代表者

加々美 康彦  中部大学, 国際関係学部, 教授 (30449889)

研究分担者 富岡 仁  名古屋経済大学, 人間生活科学部管理栄養学科, 教授 (00126880)
都留 康子  上智大学, 総合グローバル学部, 教授 (30292999)
河 錬洙  北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (50435989)
吉原 司  姫路獨協大学, 人間社会学群, 准教授 (60510071)
高村 ゆかり  東京大学, 未来ビジョン研究センター, 教授 (70303518)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード国際法 / 海洋法 / 太平洋島嶼国
研究実績の概要

本研究では、太平洋島嶼国の実行に見いだしうる国際法の先端的事象を、この地域に特殊な国際関係に注意を払いながら、以下の(1)~(4)の項目に分けて調査してきた。すなわち(1) 海洋環境・生物資源の保全と利用(ナウル協定下で進むマグロ漁業日制限制度の実施強化、 国家管轄権外区域における生物多様性の保全(BBNJ)実施協定の審議における「隣接性原則」の提唱に見られる沿岸国主義傾向の強化とその背景など)、(2) 海底鉱物資源の探査と開発(クック諸島、キリバスほかのテンプレート化された海底鉱物法が他地域や国際海底機構(ISA)の立法・実行に与える影響など。また、太平洋島嶼国に活発に関与する韓国における深海底資源開発法についても追加的に研究を進めている)、(3) 気候変動と海面上昇(気候変動枠組条約の実施メカニズム立案で存在感を発揮した太平洋島嶼国の組織化が、気候変動問題関連の国際会議に与える影響など)、(4) 地域機関と海洋ガバナンス(国際海事機関(IMO)における2018年の温室効果ガス削減戦略をめぐる太平洋島嶼国の動き、欧州連合とタッグを組むマーシャル諸島など太平洋島嶼国主導の船舶大気汚染規制のレジーム構築など。さらに、トンガにおける火山噴火・津波災害に関わる協力体制の問題も追加して研究を進めている)である。
2021年度は、当初、上記諸項目に関係する国際立法や地域海洋政策策定の背景を分析するため海外訪問調査を予定していたが、感染症に関する社会情勢の影響を受けて実施できず、本年度も(その先もしばらく)状況変化が見込めないため、上記訪問調査や海外での研究会開催等はオンラインに切り替え、文献調査を主として実施している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2021年度は、計画していた海外訪問調査が行えなかったので、文献調査を主として実施してきた。初年度に本研究テーマの下で実施した研究発表(2本)は、現在専門学会誌で査読段階にある。
また2021年度には、韓国海洋科学技術研究所(KIOST)海洋政策研究所や韓国外務省関係者などとの共同研究会がオンラインで開催することができた。この研究会では、日韓双方で実務に精通する者の参画を得ることができたため、新興ドナー国である日韓にとって強みとなる協力分野とは何かについて、実務経験にも基づいた議論を進めることができ、さらに対太平洋島嶼国関係の問題点などの情報共有も進み、共同検討を進める体制ができた。

今後の研究の推進方策

引き続き、文献調査を中心として進めつつ、政策提言の策定に向けて日韓共同研究を重ねて検討を進めていくことにする。2021年度に構築した韓国海洋科学技術研究所(KIOST)海洋政策研究所、韓国外務省関係者などとの共同研究体制を土台に、オンラインで共同研究会を開催し、 日韓にとって強みを活かしうる太平洋島嶼国への協力とは何かを追究していく予定である。とりわけ、2021年度の検討結果をふまえ、海洋の境界線設定と海運分野を中心として、具体的で実現可能な政策提言の策定を目指していく。

  • 研究成果

    (14件)

すべて 2022 2021 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (5件) (うちオープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 2件、 招待講演 2件) 図書 (4件)

  • [国際共同研究] 韓国海洋科学技術研究所(KIOST)(韓国)

    • 国名
      韓国
    • 外国機関名
      韓国海洋科学技術研究所(KIOST)
  • [雑誌論文] 世界は1.5℃目標をめざす2022

    • 著者名/発表者名
      高村ゆかり
    • 雑誌名

      世界

      巻: 2022年1月号 ページ: 158-166

  • [雑誌論文] 地球環境時代の日本の南極政策の課題2021

    • 著者名/発表者名
      都留康子
    • 雑誌名

      法学新報

      巻: 128 ページ: 377-406

  • [雑誌論文] 気候変動問題とエネルギー:国際社会の変容と変化のなかの日本外交2021

    • 著者名/発表者名
      高村ゆかり
    • 雑誌名

      国際問題

      巻: 700 ページ: 30-39

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] カーボンニュートラル 日本の課題2021

    • 著者名/発表者名
      高村ゆかり
    • 雑誌名

      世界

      巻: 2021年6月 ページ: 156-165

  • [雑誌論文] カーボンニュートラルに向けた日本の気候変動・エネルギー政策の課題2021

    • 著者名/発表者名
      高村ゆかり
    • 雑誌名

      環境と公害

      巻: 第51巻2号 ページ: 2-7

  • [学会発表] EU-Japan Cooperation in the Race for Climate Neutrality and Green Technologies2022

    • 著者名/発表者名
      Yukari Takamura
    • 学会等名
      Japan-Europe Forum Berlin 2022, European Council on Foreign Relations
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Europe's Green Ambitions and Indo-Pacific Realities2022

    • 著者名/発表者名
      Yukari Takamura
    • 学会等名
      The ECFR Indo-Pacific Strategy Group
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] FAO・COFI の公海漁業に関わる文書について2021

    • 著者名/発表者名
      吉原司
    • 学会等名
      京都国際法研究会
  • [学会発表] 環境権の国際的保障とその課題2021

    • 著者名/発表者名
      高村ゆかり
    • 学会等名
      環境科学会 シンポジウム「世界環境憲章と日本の 環境法政策―環境法の基本原則の視点から」
  • [図書] 『アントロポセン時代の国際関係』(都留康子「国際公共圏としての南極ガバナンスとその課題」)2022

    • 著者名/発表者名
      星野智(編著)
    • 総ページ数
      310
    • 出版者
      中央大学出版部
    • ISBN
      978-4805713433
  • [図書] 『国家管轄権外区域に関する海洋法の新展開』(都留康子「国家管轄権外の生物多様性(BBNJ)の保全の議論はどのように始まったのか」)2021

    • 著者名/発表者名
      坂元茂樹・薬師寺公夫・植木俊哉・西本健太郎(編著)
    • 総ページ数
      440
    • 出版者
      東信堂
    • ISBN
      978-4-8420-4054-7
  • [図書] 『国家管轄権外区域に関する海洋法の新展開』(加々美康彦「BBNJプロセスと海洋保護区」)2021

    • 著者名/発表者名
      坂元茂樹・薬師寺公夫・植木俊哉・西本健太郎(編著)
    • 総ページ数
      440
    • 出版者
      東信堂
    • ISBN
      978-4-8420-4054-7
  • [図書] 国際法判例百選(第3版)(加々美康彦「海洋境界画定の法理-ベンガル湾事件(バングラデシュ対インド)」2021

    • 著者名/発表者名
      森川幸一・兼原敦子・酒井啓亘・西村弓(編)
    • 総ページ数
      250
    • 出版者
      有斐閣
    • ISBN
      978-4-641-11555-2

URL: 

公開日: 2022-12-28  

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