研究課題/領域番号 |
20H01427
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
西村 智朗 立命館大学, 国際関係学部, 教授 (70283512)
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研究分担者 |
徳川 信治 立命館大学, 法学部, 教授 (60280682)
高村 ゆかり 東京大学, 未来ビジョン研究センター, 教授 (70303518)
松本 裕子 (小坂田裕子) 中央大学, 法務研究科, 教授 (90550731)
松井 章浩 大阪工業大学, 知的財産研究科, 准教授 (20511645)
浜田 太郎 専修大学, 法学部, 教授 (00454637)
加々美 康彦 中部大学, 国際関係学部, 教授 (30449889)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 持続可能な開発 / SDGs |
研究実績の概要 |
本年度は、持続可能な開発(sustainable development)の3つの柱である「環境保護」「社会開発」「経済開発」の観点から、SDGsの目標、ターゲットおよび指標が、現行の国際法、特に多数国間条約の実施の中でどのような影響を与えているかについて、研究代表者および研究分担者が分担して、環境、経済、人権、海洋法といったそれぞれの分野の状況分析をおこなった。具体的には、各分野の国際条約に設置されている実施機関の報告書や締約国会議の決定検討素材とし、必要に応じて、各国およびステイクホルダー(NGOや企業)の報告書や活動記録なども活用して分析を行った。 その結果、人権や経済の分野では、積極的にSDGsの目標に言及してその成果を検証する事例を確認することができた。 本年度のもう一つの研究計画として、SDGsの各目標相互間の関連性についての分析を行った。環境保護、経済発展、社会発展の3分野で各目標がどのように関連しているかについて資料収集および関連文献の検討を行った結果、各国の国内訴訟の中で、気候変動問題を人権侵害として取り扱う「気候変動訴訟」が急速に進展していることを確認した。他方で、上記3分野の間で抵触する事例については、充分確認することはできなかった。これについては次年度も分析を継続したい。 その他に、コロナ禍でこれまで行えなかった、海外の研究機関や国際会議での資料収集や情報交換も再開したが、研究代表者が新型コロナウイルス感染症による制約のため、予定していた気候変動条約締約国会議に参加できなかったため、1年間の繰越を申請した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症により2021年度に引き続き、2022年度も1年間の繰越を申請した。しかしながら、助成金採択後の2022年に学部公務に就任した研究代表者以外は、概ね予定通りの研究活動を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
次年度(2023年度)は、本研究の最終年度であり、研究の総括と今後の展望を明確にするための活動をおこなう。ただし、これまでの研究期間(2020年度から2022年度まで)において、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響により、国内外での研究活動や国際会議への参加が制限され、情報収集が十分に行えなかったことから。未解決の問題に対処するため、以下のような研究活動を行う。 まず、SDGsと国際法の関係性の再確認と分析を行う。周知の通り、SDGsは非拘束文書でありながら、国際社会に大きな影響を与えている。したがって、国際法(具体的には多数国間条約)との関係性を再確認し、SDGsが国際法の発展と統合にどのような役割を果たすかを明らかにする。また、国際法の分断化現象を念頭に入れつつ、SDGsがこれを解消する可能性について検証する。 次に、研究代表者および分担者の専門分野ごとに、SDGsと国際法の関連性の詳細な分析を行う。具体的には、人権法、環境法、経済法、海洋法などの専門分野を対象とし、各分野でのSDGsの目標と国際法の枠組みとの関係性を明らかにする。さらに、各分野の間での相互関係に焦点を当て、一般国際法も含めた総合的な分析を行う。 最後に、SDGsの国際規範としての意義と影響を検討する。SDGsは国家や国際機関にとどまらず、企業、自治体、市民などの幅広いステイクホルダーによって支持されている。この点に着目し、SDGsが国際規範として持つ意義と国際法に与える影響について詳細に検討する。特に、企業や市民がSDGsをどのように受け入れ、実践しているかに焦点を当て、国際法に与える影響を明らかにする。 これらの作業について、海外の大学(韓国の高麗大学を予定)とのワークショップで成果報告を行い、SDGsに対する評価に関する比較分析を行うと共に、海外におけるSDGsと国際法の関係について情報を共有する。
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