研究課題/領域番号 |
20H01431
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研究機関 | 青山学院大学 |
研究代表者 |
葛野 尋之 青山学院大学, 法学部, 教授 (90221928)
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研究分担者 |
笹倉 香奈 甲南大学, 法学部, 教授 (00516982)
水谷 規男 大阪大学, 高等司法研究科, 教授 (20211584)
田淵 浩二 九州大学, 法学研究院, 教授 (20242753)
徳永 光 獨協大学, 法学部, 教授 (20388755)
斎藤 司 龍谷大学, 法学部, 教授 (20432784)
石田 倫識 明治大学, 法学部, 専任教授 (20432833)
關口 和徳 愛媛大学, 法文学部, 准教授 (20507157)
佐藤 舞 龍谷大学, 公私立大学の部局等, 研究員 (20761092)
高平 奇恵 東京経済大学, 現代法学部, 准教授 (30543160)
豊崎 七絵 九州大学, 法学研究院, 教授 (50282091)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 誤判 / 誤判是正 / 誤判救済 / 再審 / 再審請求 / 再審公判 / 証拠開示 / イノセンス・プロジェクト |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、誤判の是正のために実効的に機能する再審制度を提示するために、現行制度の運用実態の把握を踏まえ、現行制度の基本枠組みを前提として、現行制度をより十全に機能させるための制度的改革を提案する。さらに、これを通じて現行制度の構造的限界を明らかにし、諸外国の誤判是正の制度とその運用に関する比較法研究を通じて、現行制度の構造的限界を克服して、 誤判の是正のために実効的に機能する新たな基本枠組みを提示することにある。 深刻なコロナ禍のなか、オンライン・ミーティングを活用しつつ、次のような研究実績をあげた。 (1)代表者・葛野が本研究全体の目的・方法を確認する報告を行い、具体的な研究方法・調査計画について意見交換を行い、アメリカ誤判救済制度について分担者・笹倉が、イギリス再審制度について同・佐藤が報告し、それを受け討議した。(2)再審研究において実績を有する大出良知教授をゲストに迎え、同氏講演「再審をめぐる問題状況」を受け、討議した。(3)代表者・葛野が報告「再審請求中の死刑執行と再審請求手続」、分担者・田淵が報告「再審請求審における審理義務」を行い、それを受け討議した。(4)オーストラリアの誤判救済制度について、Rachel Dioso-Villa (Griffith University)の報告「誤判救済とグリフィス大学イノセンスプロジェクト」、Robyn Blewer(同)の報告「オーストラリアにおける誤判冤罪」を受け、討議した。(5)分担者・桜がオーガナイズし、同・石田、同・斎藤画報告者となった刑法学会関西部会分科会「冤罪救済の現状と課題」をまとめた特集を刑法雑誌に発表し、(6)以上を総括する形で、日本刑法学会第99回大会において、分担者・石田がワークショップ「誤判救済の比較法的考察」をオーガナイズし、分担者・佐藤、同・笹倉が報告し、協力者・水野がコメントを行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究は、上記目的の達成のために、ドイツ、フランス、アメリカ、イギリス、オーストラリアなどの誤判救済・再審制度とその運用について、外国調査を実施することを研究方法の基軸に据えていたところ、深刻なコロナ禍の影響により、これらを計画通りに実施することができなかった。 これを補完するために、外国人の研究協力者に依頼し、オンライン・ミーティングの形式により自国の制度および運用、それらをめぐる問題について報告してもらい、それを受けて討論を重ねてきた。また、国内において可能な文献調査については、鋭意取り組んできた。しかし、外国調査が実施できなかったことの影響は大きく、予定どおりの研究の進捗は得られなかった。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は、2021年度、2022年度においても継続を認められたが、この時期においても、深刻なコロナ禍の影響により、計画通り外国調査を実施することができなかった。2023年度においては、2021年度分の再延長、2022年度分の延長申請が認められたので、(1)重点を絞りつつ、積極的に外国調査を実施し、その成果を、誤判の是正のために実効的に機能する再審制度を提示するという研究目的の達成のために活かしていく。(2)その前提として、調査実施国を中心に、外国の制度および運用についての文献研究をさらに深める。 また、(3)日本弁護士連合会が、2023年2月、「刑事再審に関する刑事訴訟法等改正意見書」を発表したところ、同意見書の内容は、本研究の研究目的と強く関連する部分を含んでいるので、同意見書の内容についても検討を深める。 研究成果の中間的発表の機会として、2021年度には日本刑法学会第99回大会において、2022年度には同第100回大会において、それぞれ分担者・石田、同・豊崎が再審制度をテーマにしたワークショップのオーガナイズを担い、他の研究分担者が報告を行ったところ、(4)2023年度には同第101回大会において、分担者・斎藤がワークショップ「再審と証拠開示」をオーガナイズし、同・斎藤とともに、代表者・葛野が報告を行う予定である。この実施に向けて、両名を中心として、弁護士、元裁判官らも交え、再審制度の運用状況の再確認しつつ、比較法研究をも踏まえた理論的検討を進める。 (5)研究成果を集大成し、発表するために、2022年度において、代表者・分担者全員の参加による研究書の作成を企画していたところ、2023年度においては、原稿執筆の準備を進める。また、(6)代表者・葛野が共編者となり、再審・誤判救済に関するブックレットを作成する準備を進め、分担者・田淵、同・豊崎、同石田が執筆に参加する。
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