| 研究課題/領域番号 |
20H01451
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| 研究機関 | 神戸大学 |
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研究代表者 |
品田 裕 神戸大学, 法学研究科, 教授 (10226136)
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| 研究分担者 |
大西 裕 神戸大学, 法学研究科, 教授 (90254375)
砂原 庸介 神戸大学, 法学研究科, 教授 (40549680)
藤村 直史 神戸大学, 法学研究科, 教授 (20551493)
鹿毛 利枝子 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (10362807)
濱本 真輔 大阪大学, 法学研究科, 准教授 (20625850)
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| 研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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| キーワード | 選挙制度 / 投票行動 / 小選挙区比例代表並立制 / 議員活動 / 復活当選 |
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| 研究実績の概要 |
本研究の目的は、「小選挙区比例代表並立制が政治的帰結に与える影響」を明らかにすることである。具体的には、政治過程の重大な要素である①政党システム、②政党組織、③議員行動、④有権者の4つを検討する。2021年度は、初年度(2020年度)に引き続き、先行研究を整理し理論面で仮説構築を行うととともに、2022年度以降の実証分析に備え、各種のデータを集め、試験的分析を行うなどの準備に注力した。
理論構築に関しては、21年度は今後の実証分析に念頭に、①政党システム、②政党組織、③議員行動、④有権者のテーマごとに、各研究者が鋭意、研究を進めた。残念ながら、対面形式による研究会は行えなかったが、オンラインで個々の研究間の調整と相互理解に努めた。
計画前半には、データの収集加工も重要な作業である。具体的には、基礎的な各種選挙(特に秋に行われた衆議院総選挙)に関するアグリデータや選挙公約などのテキストデータの収集加工を精力的に進めた。また、サーベイデータによる実験に備え、試験的な調査を含めた検討を行った。
実証分析については、並立制独自の効果を分析するために、以下の分析を行うべく準備を進めている。①政党システムに関しては、小選挙区の候補擁立によって比例代表の得票を増やそうとするなど、比例区の存在が小選挙区での野党の断片化を招くこと、②政党組織に関しては、比例復活の当選を狙う候補者が惜敗率による復活当選を狙って党の政策位置から逸脱した政策位置を取ろうとして政党の集権化が阻害されること、③議員活動に関しては、復活当選により複数の現職議員が同一選挙区内に存在すると利益誘導をより強調しようとして個人集票活動に力をいれること、④有権者の投票行動に関しては、支持候補の比例復活についての認識が、有権者が二票を行使する際の戦略的行動と関連することである。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は、「小選挙区比例代表並立制が政治的帰結に与える影響」を明らかにすることである。具体的には、政治過程の重大な要素である①政党システム、②政党組織、③議員行動、④有権者の4つを検討する。2021年度は、初年度の積み残しである先行研究の整理および理論面での仮説構築を行うととともに、実証分析に備え、各種のデータを集め、試験的な分析を行うなどの準備を進めた。
理論的検討に関しては、②政党組織と③議員行動の成果が既に一部の公表された業績に反映されている。また、①・④についても、各研究者がこれまでに進めてきた研究関心の延長線上を主に、④については試験的な分析を実際に行うなど、相応の進捗をみている。特に濱本は、政党組織・議員活動・政党システム等について、従来から蓄積してきた研究成果をまとめた集大成を発表した。鹿毛は、自らの研究関心に従い、移民や民主化といった分野について有権者の意識を精力的に分析し、大西・品田は政党組織・議員行動や本研究の基礎になる選挙制度理解のために、従来の研究活動を活かし、実証的にその知見を提示した。これらの成果は複数の学会で報告され、文字媒体での発表も進行している。
データの収集加工に関しては、基礎的な各種選挙(特に2021年秋に行われた衆議院総選挙)に関するアグリデータや選挙公約などのテキストデータの収集加工を精力的に進めた。また、サーベイデータによる実験に備え、検討を行い、一部、試験的な調査を複数回、さまざまに試みている。パイロット的に行うはずであったインタビューなどに基づく質的データの作成や対面による研究会の実施などが、コロナ禍の影響で想定通りに進めることができなかったが、それ以外の部分に関しては概ね順調に研究活動を行うことができた。
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| 今後の研究の推進方策 |
本研究で明らかにすることは、「小選挙区比例代表並立制が政治的帰結に与える影響」である。政治的帰結として、先行研究が豊富で、政治過程の重大な要素である①政党システム、②政党組織、③議員行動、④有権者の4つを検討する。総括をする品田の下、分担を決め研究を進める。アグリゲートデータなどのデータの収集構築については新たに加わった平野を主に、また、実験を含む調査とその分析についてはやはり新規加入の重村を主に取り組み、その精緻化と加速化をはかる。
３年目となる今年度は、実証分析を深めていく予定である。しかしながら、ここまで、新型コロナ感染症拡大流行や総選挙に伴う新たなデータの発生などの事情から、全般的に遂行しきれていない部分が残っていることも否めない。そのため、引き続き、昨年までの作業を行う。データの収集・加工に関しては、昨年度の総選挙に加え、地方政治との関連部分を拡充することを目指す。研究成果は、随時、中間報告を進めると共に、学会や研究会等を通じフィードバックを得て再検討を重ね、最終的には知見を公表することを目標とする。
実証分析に関しては、現時点での理論的予測を検証する。政党システムについては、小選挙区での候補擁立が比例代表の得票に与える影響、逆に、比例区での当選可能性に応じた小選挙区擁立戦術をとっているかに着目する。政党組織については、公約データのテキスト分析により政党指導部と一般議員の政策位置を推定・比較し、党の政策位置からの逸脱について分析する。議員の政策活動についても公約データのテキスト分析により、同一選挙区の現職議員の存在と政策内容の関連を検討する。有権者については、比例復活に関連する支持候補の強さ、正統性、能力やその政策内容に関する認識やそれに基づく行動意図との関係などを分析する。
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