• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2022 年度 実績報告書

公共政策におけるリスケーリング(政府間関係・行政単位の再編)に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 20H01459
研究機関立命館大学

研究代表者

徳久 恭子  立命館大学, 法学部, 教授 (60440997)

研究分担者 近藤 康史  名古屋大学, 法学研究科, 教授 (00323238)
佐々木 幸寿  東京学芸大学, 教育学部, 教授 (20432180)
待鳥 聡史  京都大学, 公共政策連携研究部, 教授 (40283709)
砂原 庸介  神戸大学, 法学研究科, 教授 (40549680)
市川 喜崇  同志社大学, 法学部, 教授 (60250966)
川上 泰彦  兵庫教育大学, 学校教育研究科, 教授 (70436450)
本多 正人  愛知教育大学, 教育学部, 教授 (90282623)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2024-03-31
キーワードリスケーリング / 再集権化 / 分権化 / 政治化 / 準市場化 / 教育委員会 / コミュニティ
研究実績の概要

産業構造の転換により明らかになったケインズ主義的福祉国家の機能不全を克服するために,各国で実施されている公共政策におけるリスケーリング(政府間関係・行政単位の再編)の実態とその帰結の解明を試みるために,本年度は理論研究を一層進めた。なかでも日本ではあまり採択されない準市場化と最小単位への権限移譲(コミュニティや学校)を進めるイギリスのリスケーリングを検討し,かつ,調査をすることで,比較の枠組みを得ることができた。
学校教育を例に日英比較を行うと,日本にはイギリスにない行政単位が鍵となることが改めて確認できた。そこで,2022年度は日本特有の教育行政単位である都道府県教育委員会の支所,すなわち「教育事務所」を対象にアンケート調査(悉皆調査)を実施した。支所の位置づけの問題もあってか回収率は31.05%にとどまった。実数は59票(調査対象190団体)にとどまるため,一般化は難しいものの,回答に一定の傾向が見られることから,2020年実施の都道府県教育委員会調査,2021年度実施の市区町村教育委員会調査とあわせて分析することで,日本の教育行政におけるリスケーリングの特性把握ができるデータをそろえることができた。具体的な分析は次年度の課題となる。
ところで,日本にも準市場化や最小単位への権限移譲をなそうとする試みは見受けられる。一例が都市内分権であり,地域自治区等がそれにあたる。だがそうした試みは十分に機能していないように思われる。それを明らかにするために,2020・21年度に上越市を対象に行ったアンケート調査の分析を続けた。その結果,「住民自治」神話(決定への過剰な期待)がもたらす代表性の偏りに問題があるとの仮定を得られた。この解明が次年度以降の課題となる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究課題は,COVID-19による行動制限や海外渡航制限が課された時期に採択されたことからヒアリング調査の実施や海外調査が難しい状況にあり,研究の進捗が遅れていた。本年度(2022年度)は,予算の繰越承認が得らえた2023年9月にイギリス調査が適い,比較の視座をえることができた。日本の事例研究については,教育政策に関する基本データが揃ったのみならず,コミュニティ政策については成果発信もできている。以上のことから「おおむね順調に進んでいる」と評価した。

今後の研究の推進方策

2023年度は3つの研究の柱を置く。1つ目は過去に行った都道府県教育委員会・教育事務所・市区町村教育委員会へのアンケート調査の分析を進め,教育政策におけるリスケーリングの実態把握に努める。
2つ目はリスケーリングの促進要因を明らかにすることにある。このために1990年代以降に行われた広義の政治改革の特徴を把握し,それらがどのような影響を与えたかを複次元的に確認する。
3つ目はこれまでユニットごとに進められていた研究を統括し,本研究プロジェクト全体としての研究成果の発信に努めたい。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (5件) 学会発表 (3件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 新築住宅依存からの転換と住宅アフォーダビリティ2023

    • 著者名/発表者名
      砂原庸介
    • 雑誌名

      都市計画

      巻: 72(6) ページ: 58-61

  • [雑誌論文] 上越市の住民調査と地域協議会調査からみた地域協働の課題2023

    • 著者名/発表者名
      德久恭子
    • 雑誌名

      SJC

      巻: 111 ページ: 8-15

  • [雑誌論文] 教育行政における政府間の相互補完性2023

    • 著者名/発表者名
      德久恭子・本多正人・川上泰彦
    • 雑誌名

      立命館法学

      巻: 408 ページ: 550-607

  • [雑誌論文] 学校管理職の広域人事状況:教育の機会均等と職能成長の視点から2023

    • 著者名/発表者名
      西山高史・川上泰彦
    • 雑誌名

      兵庫教育大学学校教育学研究

      巻: 36 ページ: 201-209

  • [雑誌論文] EUをめぐる分断はイギリスの政党政治を変えたか?2022

    • 著者名/発表者名
      近藤康史
    • 雑誌名

      Voters

      巻: 69 ページ: 13-15

  • [学会発表] 分権改革30年と自治体財政:集権型システムの構造と課題2023

    • 著者名/発表者名
      市川 喜崇
    • 学会等名
      日本地方自治学会
  • [学会発表] 教員採用年度と勤務環境・職能の変化について2023

    • 著者名/発表者名
      妹尾渉・川上泰彦
    • 学会等名
      日本教育行政学会
  • [学会発表] 戦後教育史研究の可能性を探る2023

    • 著者名/発表者名
      德久恭子
    • 学会等名
      日本教育学会
  • [図書] 揺らぐ中間層と福祉国家ー支持調達の財政と政治2023

    • 著者名/発表者名
      高端正幸・近藤康史・佐藤滋・西岡晋編著
    • 総ページ数
      273
    • 出版者
      ナカニシヤ出版
    • ISBN
      978-4-7795-1749-5

URL: 

公開日: 2024-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi