研究課題/領域番号 |
20H01472
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研究機関 | 神奈川大学 |
研究代表者 |
大庭 三枝 神奈川大学, 法学部, 教授 (70313210)
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研究分担者 |
清水 一史 九州大学, 経済学研究院, 教授 (80271625)
川島 真 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (90301861)
本名 純 立命館大学, 国際関係学部, 教授 (10330010)
鈴木 早苗 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (30466073)
青木 まき 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, 地域研究センター東南アジアI研究グループ, 研究グループ長代理 (90450535)
高木 佑輔 政策研究大学院大学, 政策研究科, 准教授 (80741462)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 地域統合 / 地域秩序 / 東アジア / ASEAN / 日本 / 中国 / 地域主義 / 小国外交 |
研究実績の概要 |
本研究は、2010年代に入り顕在化した東アジア地域秩序の再編と、それに伴う地域統合の進展において、ASEAN諸国を中心とする小国がどのような役割を果たしたか、を明らかにしようとするものである。2010年代以降、東アジア地域秩序再編と地域統合の進展は(1)中国の台頭とその対外政策の活発化に伴うパワーバランスの変化、および(2)グローバル化の一層の進展の東アジアへの影響という二つの要因によって加速してきた。本研究はこうした大国からの働きかけや国際社会のグローバルレベルでの変化に対し、ASEAN諸国および日本がどのように対応したかが、この地域の秩序再編と統合のあり方に大きな影響を与えてきたという仮説に立つ。さらにこの研究は、リベラル国際秩序の後退と東アジアの地域秩序変容がどのように関連しているかについても明らかにする。本研究は、ASEAN諸国内の国内政治も視野に入れることで、地域秩序変容の内発的側面にも着目しつつ、東アジア地域秩序変容の実態把握をも目指している。コロナ禍の中で移動制限がある中、2020年度は、研究メンバーおよび外部講師を招いての研究会を二ヶ月に一度程度の頻度で行うと共に、それぞれのメンバーが担当するテーマについての研究を進めた。2022年度からは移動が多少可能になり、一部のメンバーによる海外海外調査が再開され、必要な情報の収集が行われると共に、研究会を通じてのメンバー全員での情報共有が行われた。また、この研究を立ち上げるときには想定してなかった新型コロナウィルスの流行とそれへの各国の対応、ミャンマーにおけるクーデターとその後の混乱、さらにロシア・ウクライナ戦争といった新たな事態を受けて、各国の対外戦略および地域秩序がどのように変化しつつあるかについての検討も各メンバーによって開始された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナの流行とそれに伴う各国の移動制限、またそれを受けた聞き取り対象者の外部からの来客受け入れの自粛などにより、本研究において中心的な研究手法である海外における聞き取り調査を行うことをかなりの程度抑制せざるを得なかったため、研究が遅れている。しかし、オンラインを活用した研究会を開催し、また研究メンバー各自が現地の同業者等との意見交換を行うことで情報収集に努め、また2022年度からは可能な海外出張及び聞き取り調査を実施するなど、なるべく研究の遅れを食い止める努力を行った。また、コロナ禍やロシア・ウクライナ戦争で東アジアの政治・経済情勢が大きく影響を受ける状況を、定点観測し、それを反映した論考等の執筆、発表に各自が勤めることで、後の研究成果につなげることを企図した。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度には、本研究に必要な出張先を精査した上でそれらを実行に移し、聞き取り調査等で情報収集することを通じて、東アジア地域秩序と、日本やASEAN諸国といった地域大国およびミドルパワー、小国の外交や対外戦略との関連についての仮説を実証するための知見を得る。また、この研究を立ち上げるときには想定していなかったコロナ禍やロシア・ウクライナ戦争といった新たな事態が、日本やASEAN諸国の対外政策にどのような影響を及ぼし、またそれらによって東アジア地域秩序のあり方がどう変化しつつあるかについての検討も行う。また秋にはアジア政経学会での発表、また年度末には国際的なワークショップ開催を想定している。
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