研究課題/領域番号 |
20H01481
|
研究機関 | 龍谷大学 |
研究代表者 |
小峯 敦 龍谷大学, 経済学部, 教授 (00262387)
|
研究分担者 |
藤田 菜々子 名古屋市立大学, 大学院経済学研究科, 教授 (20438196)
金子 創 大分大学, 経済学部, 准教授 (20737639)
野原 慎司 東京大学, 大学院経済学研究科(経済学部), 准教授 (30725685)
高見 典和 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (60708494)
中井 大介 近畿大学, 経済学部, 教授 (70454634)
寺尾 範野 早稲田大学, 社会科学総合学術院, 准教授 (80735514)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | 良き社会 / ミドルデータ / 自由主義 / 公共善 / 計量テキスト分析 |
研究実績の概要 |
●当該年度は、オンラインによって継続的に「良き社会研究会」を開催した。第4回「良き社会研究会」は2021年6月12日(土)に、第5回は6月20日(日)に開催し、予備的な打ち合わせを試みた。特に第6回の6月26日(土)において、藤田菜々子「新マルサス主義者としてのヴィクセル」と題して、共同研究者を含めた小峯敦、仲北浦淳基、平方裕久、小沢佳史、金子創ほかが集まり、スウェーデンの良き社会論を議論した。 ●第7回研究会(7月3日土曜)や第8回研究会(7月24日土曜)や第9回研究会(7月31日土曜)においては、・テキストの洗浄・訳本同士の特徴をどのように定義するか・漢字と漢字以外の比率をカウントする・品詞別の出現数を比較する・一括して、改行記号を削除する、・TTRとは、・テキストの特徴量とは何か、・句読点の実数、・MVRとは 等、テキストマイニングの具体的手法を討論するオンライン研究会を開催した。 ●第13回研究会においては、報告者:金子 創(大分大学)論題:「格差と規範の政治経済学: 分析的マルクス主義の視点から」討論者:松井 暁(専修大学)という外部講師を招いた研究会を行った。 ●いずれの研究会も、研究目的に示していた三区分(経済学の古典的時代、改革的時代、現代的時代)のうち、三番目の新(規制緩和的)自由主義に対応した期間を考察している。この期間では、Neo-Liberalismの思想的源泉であるハイエク、フリードマン等の経済思想家にも注目しながら、1980年代以降の新聞記事データベースを駆使して、「新自由主義」「ネオリベラリズム」というキーワードに注目した。さらに、近年の動向として、単に規制緩和的な新自由主義だけでなく、規制を強化するネオリベラリズムも視野に入ってきている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
●本研究の根幹として、海外における一次文献の情報源(デジタル化されていない多くの原典)に実際に赴き、そのうちどのようなデータベースが本研究にとって有用であるかを見極める必要がある。しかしながら、コロナ禍も2年間を迎えているが、感染症は波動を描いて推移しており、いまだに海外渡航が不可能な状態である。オンライン会議もいくつか経験しているが、対面による情報交換の有用性からはほど遠い。 ●コロナ禍も3年目を迎えるにあたり、上記の根幹を回避しながら、新機軸の本研究を進めようと尽力しているが、「再現セミナー」等の当初の計画はすべて中止せざるを得なかった。 ●そのため、比較的データベースの揃っていて、数十年単位で同じキーワードを追える新聞記事検索に収集して、本研究の遅れを取り戻すべく、尽力を重ねている。
|
今後の研究の推進方策 |
●本研究では「良き社会」とは何かを計量テキスト分析などを組み合わせて読み解こうとする。他方、21世紀の現在、「脱資本主義論」「新しい資本主義論」が急速に市民権を得ている。資本主義論の理想と現実に集中する手法もありえるため、中でも強力な「新自由主義」「ネオリベラリズム」というアンブレラターム(多くの概念を包括する幅広い学術用語)に着目する。 ●計量テキスト分析に資するデータは、これまでの研究蓄積により、新聞記事データベースが最も安定的であると判明した。すなわち、およそ40年間にわたって、題名、日付、本文、キーワードなどの外部変数を持ちつつ、記事本文というまとまったテキストを内容分析できる。中でも日経テレコン21(日本経済新聞)や毎索(毎日新聞)においては、instant data scraper等のcrome拡張機能を用いることで、かなり容易にテキストデータを収集できることが判明した。 ●そこで、研究期間の残余も考えて、新聞データベースに資源を注力するという方向転換を考えている。
|
備考 |
前の科研費研究を引き継いでいるもの。ウェブの更新がやや止まっているが、近日、リニューアルも考えている。
|