研究課題/領域番号 |
20H01491
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
岡室 博之 一橋大学, 大学院経済学研究科, 教授 (40251730)
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研究分担者 |
池内 健太 独立行政法人経済産業研究所, 研究グループ, 上席研究員 (20625496)
西村 淳一 学習院大学, 経済学部, 教授 (40612742)
池田 雄哉 文部科学省科学技術・学術政策研究所, 第1研究グループ, 主任研究官 (40836433)
原 泰史 一橋大学, 大学院経済学研究科, 特任講師 (70774644)
加藤 雅俊 関西学院大学, 経済学部, 教授 (80507707)
高野 佳佑 一般財団法人運輸総合研究所(学術研究チーム), その他部局等, 研究員 (10909964)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 政策評価 / 地方自治体 / 創業 / イノベーション / 研究開発 / 中小企業 / ミクロ計量分析 |
研究実績の概要 |
本研究プロジェクトの2年目になる2021年度には、総務省「科学技術研究調査」と文部科学省科学技術・学術政策研究所の「全国イノベーション調査」の個票データの整理と集計を進める一方で、企業・大学等機関別に特許データ、学術論文データの収集と入力を行い、統計調査の個票データとの接合を進め、分析の準備を整えた。 次に、全国の地方自治体(市区)を対象とする創業支援・研究開発支援のアンケート調査を継続し、回答データを整理・集計した。また、これらの調査データを地域データや特許データと接合し、自治体の創業支援・研究開発支援の効果についての分析を進めた。さらに、自治体の創業支援・研究開発支援の利用について、選ばれた地域の企業を対象とするアンケート調査を2021年度中に実施した。今後、調査に協力いただいた自治体の政策担当者や企業の経営者、地域の支援事業者・団体への聞き取り調査を行い、アンケート調査結果を補足する予定である。 また、1950年代大阪府の中小企業特別融資の効果を検証する論文をまとめ、学会で報告し、海外の学術専門誌に投稿した。さらに、1950年前後の特別調達庁を通じた占領軍からの発注契約書情報を国立公文書館のデジタル・アーカイブから入手して、データベース化を開始した。2022年度にはこの膨大なデータに基づいて、朝鮮特需の地域企業への影響について実証分析を進める予定である。 なお、2021年度には、研究協力者を含めて英文の査読付き学術誌に12本(査読受理を含む)、日本の査読付き学術誌に2本、査読なし論文(DPを含む)を7本公刊し、国内外の学会(オンライン開催を含む)で合計7回の研究報告を行うことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
全国の自治体(市区)の政策担当職員向けのアンケート調査を2020年度末から継続して実施し、全市区の3分の2から回答を集め、開業数や特許出願件数等を含むさまざまな地域別データと接合し、さまざまな創業支援と研究開発支援の関係を明らかにし、政策支援の効果に関する分析を進めることができた。また、当初の予定通り、公的な創業支援と研究開発支援の利用に関する企業調査を、それぞれ全国の8千社以上の中小企業を対象として2021年度内に実施し、回答を集めて整理・集計することができた。 また、政府統計の個票データ分析については、概ね当初の予定通り、総務省「科学技術研究調査」と文部科学省科学技術・学術政策研究所「全国イノベーション調査」のミクロデータの整理・集計を行い、特許出願データや学術論文データとの接合を進めた。大阪府の歴史的な企業ミクロデータを用いた1950年代の近代化融資の研究については、成果論文を海外の学術誌に投稿し、新たな研究課題として1950年代前半の朝鮮特需の地域中小企業への影響に関する研究を開始することができた。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度以降は研究期間の後半であり、これまでに入手した統計個票データ・調査回答データの集計と分析をさらに進め、分析結果を論文にまとめて国内外の関連分野の専門学会で発表し、また成果論文を海外の学術誌に投稿し、掲載を目指す。アンケート調査にご協力いただいた自治体の政策担当者や企業の経営者、地域の支援事業者への聞き取り調査を(可能な限り対面・訪問調査として)行い、計量分析の結果を補完する。最終年度には特に地方自治体の政策担当者や支援事業者を対象とする研究成果のアウトリーチ活動にも力を入れる。 統計データについては、総務省「科学技術研究調査」と文部科学省科学技術・学術政策研究所「全国イノベーション調査」のミクロデータの計量分析を本格的に進め、特許データ・学術論文データとの接合によって、国および地方公共団体による研究開発支援の効果とその変化およびメカニズムを明らかにする。2021年度までに実施した創業支援と研究開発支援に関する自治体(政策担当者)へのアンケート調査と地域企業(経営者)へのアンケート調査の回答データの集計と分析を進め、各種の支援措置の効果を地域レベル、企業レベルで検証する。また、2020年度に先行調査として実施した中小・スタートアップ企業の研究開発と知財活用に関するアンケート調査の回答データの分析を本格的に進め、成果論文をまとめて発表する。1950年代の大阪府企業を対象とする朝鮮特需の影響に関するデータセットを構築し、実証分析を行う。
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