研究課題/領域番号 |
20H01493
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研究機関 | 滋賀大学 |
研究代表者 |
田中 勝也 滋賀大学, 経済学系, 教授 (20397938)
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研究分担者 |
西澤 栄一郎 法政大学, 比較経済研究所, 教授 (30328900)
上條 良夫 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (40453972)
堀江 哲也 上智大学, 経済学部, 教授 (40634332)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 農業環境政策 / 成果連動型支払 / 生態系サービス支払い / 農業環境支払い / 経済実験 / 選択型実験 |
研究実績の概要 |
本研究は、環境政策における成果連動型支払い(Payment by Results (PbR), またはPay for Success(PFS))の導入がイノベーションの創出に与える影響につ いて、経済実験と計量分析の両面から分析することを目的とするものである。 計量分析では、滋賀県琵琶湖沿岸部の営農者を対象にとしたアンケートをおこない、その中で鳥類を指標とした仮想的なPbRシナリオに基いた選択型実験(コンジョイント分析)を実施した。333人の回答データに基づく分析結果は、多くの農家がPbR的な農業環境支払いを受け入れることを示すものであった。また、様々な契約属性が農家の参加意思決定に影響を与えることが判明した。しかし、一度参加を決めた農家が、どの程度の農地をPbRに参加させるかは、面積あたりの支払金額の水準のみに影響される可能性が高いことも示された。 したがって、より多くの農家の参加を促し、より多くの農地でPbRに基づいた効率的な保全を実施させるためには、政策決定者が提供するインセンティブの水準が極めて重要であるといえる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍による人的な交流機会の減少により、当初予定していた経済実験は実施が難しく、翌年度に延期せざるを得ない状況であった。計量分析では、調査に先立つフィールド調査は実施が大幅に制限されたが、アンケート調査は予定通り実施することができた。全体としての進捗には遅れがみられるが、その分今後の調査準備に注力しており、次年度には十分挽回できると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、計量分析のためのアンケート調査および当初計画されていた経済実験をおこない、PbRが農家や一般市民に受容され、環境改善と地域イノ ベーションにつながるための条件を特定する方針である。それらの知見を取りまとめ、PbRを公共政策として機能させ、持続可能な発展につなげるための処方箋を 政策提言することが、本研究の最終的なゴールである。
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